ストレスが原因で歯痛が起こる? 非定型歯痛とは。
こうした症状が続いていて原因を調べているうちに、ネットなどで「非定型歯痛」という病気を知った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ストレスによって起こるともいわれている非定型歯痛。「検査では虫歯もなかったし、もしかしたら自分も非定型歯痛では? 」と疑ってしまいますよね。強いストレスを感じている自覚がある方であればなおさらです。
今回は非定型歯痛について解説するとともに、ストレスによって歯痛が起きる例を紹介します。
ストレスが口腔内に与える意外な影響
強いストレスや緊張を感じると口内が乾いたり、無意識に歯を食いしばっていたりするという経験はありませんか?
口腔内には非常に敏感な知覚神経が通っており、精神状態は口腔内環境にも大きな影響を与えるのです。
直接的ではないにせよ、ストレスが間接的な原因となって歯痛を起こす例として、次のような症状があげられます。
食いしばり・歯ぎしりによる歯痛
無意識のうちに食いしばりや歯ぎしりをしている人は、歯ぐきや歯に負担をかけてしまい、それが原因で歯痛が生じている可能性があります。
また、自分の口臭を気にしすぎる人は口元が常に緊張する傾向にあるともいわれています。口を強く閉じようと食いしばってしまい、歯痛や口内の痛みを引き起こしているかもしれません。
普段の生活で歯に強い力をかけていないか、一度チェックしてみましょう。
寝ているときにこれらの症状が起こっている場合は、翌朝あごがだるく感じたり、口腔内に傷がついたりすることもあります。こうした症状が続くと顎関節症になってしまう可能性もあり、歯科医院で一度相談してみるのもよいでしょう。
ストレスで身体の抵抗力が弱まり歯痛が起こる
身体の抵抗力が高い状態だと、口腔内だけでなく身体のどこかにトラブルがあっても気がつきにくいものです。
しかし、ストレスがかかった状態が続くと身体の抵抗力は弱まりやすくなります。すると、以前は気がつかなかった口腔内の症状にも敏感になってしまうのです。
ストレスで唾液量が減ると歯周病リスクも
ストレスが原因で唾液量の分泌が減ると、歯周病菌が繁殖しやすくなります。これは、唾液に口腔内の細菌の繁殖をおさえる働きがあるためです。可能な範囲で日常生活のストレスを取り除くことをオススメします。
また、唾液の分泌量が低下すると口臭が悪化する可能性も。起床時の口臭が強いのは、就寝中に唾液の分泌量が減り細菌が繁殖しやすいためだと考えられています。
そのほかの原因は? 非定型歯痛の可能性も
ストレスが間接的に歯痛を起こすケースについて紹介しました。なかには筋肉の痛みや、鼻の炎症を歯痛と感じてしまうケースもあるため、歯痛の原因がストレスだとすぐに結論づけられるわけではありません。
歯痛の原因が見当たらない場合は「非定型歯痛」だと診断されるケースも。ストレスによって口内の血管が広がりすぎた結果、歯の周りが腫れたような状態になることで歯痛が起きるとも考えられています。
しかしながら、非定型歯痛はまだ研究が進められている段階です。
レントゲン検査などを行っても問題は見当たらず、消去法的に「ほかに原因となる疾患が見当たらないため、非定型歯痛だと考えられます」と歯科医師に告げられるケースもあり、患者さんも痛みの原因を求めて歯科医院を転々としてしまうケースがあります。
そのほかにも、脳の痛みを司る部分に何らかの問題が起こり、痛みが生じるという説もあります。この場合は、歯科医院での治療で快方に向かう可能性は低いといえます。
病院によっては抗うつ剤や、認知行動療法によって改善を図ることもあるため、口内の検査や治療を受けたにも関わらず、長期間歯の痛みが続く場合は歯科医院以外の医療機関に相談してみることをオススメします。
うつ病が歯痛を引き起こすことも
そのほかにも、うつ病や統合失調症が歯痛に関連していることも考えられます。歯痛だけでなく精神的な不調も感じている人は、早めに心療内科など精神疾患に対応している医師のもと、診療を受けることをオススメします。
ストレスによって口腔内環境は悪化しやすくなります。精神的な緊張で食いしばりや歯ぎしりをしてしまうくせがつくと、口腔内に強い負荷をかけてしまう可能性もあります。
少しずつでも、日常生活でストレスだと感じることへの対処をしていけるとよいでしょう。
歯痛が起こった場合は、まずは通常の歯科医院で検査を受けることをオススメします。無自覚のうちに歯周病や虫歯が進行している可能性もあるためです。自身のオーラルケアが、知らないうちに歯や歯ぐきにダメージを与えているかもしれません。
口腔内の検査などをおこなって問題がなかったにも関わらず、原因不明の歯痛が続く際は身体からのサインだととらえて、早急に歯科医院以外の医療機関で対処法を相談しましょう。