お口と健康
2019.09.05

親知らずが横向きに生えてきたときに起こりやすいトラブルは?

親知らずといえば、腫れたり痛みを感じたりするなどのトラブルが多い歯というイメージがあるかもしれません。

もちろん、親知らずを必ず抜かなくてはならないわけではありませんが、斜めや横向きに生えてくると、さまざまな口内トラブルが起こりやすくなってしまうため注意が必要です。


今回は、親知らずが横向きに生えてきた際に起こりやすいトラブルや対処法、また、親知らずの磨き方などについて解説します。

親知らずとは?


親知らずは別名「第三大臼歯」または「智歯」とも呼ばれ、一番奥に生えてくる奥歯のことです。だいたい20歳前後で生えてきます。

永久歯の数は全部で28本、親知らずも含めると32本。しかし親知らずは個人差があり、中には先天的に親知らずがないという方も少なくありません。親知らずは斜めや横向きに生えてくると、トラブルが起きやすい歯として知っているという方も多いのではないでしょうか。

親知らずが横向きに生えてきた時に起きやすいトラブル


では、具体的に親知らずが生えることによって、どのようなトラブルが起きやすいのでしょうか。詳しくみていきましょう。

  • 智歯周囲炎

親知らずが横向きや斜めに生えてくると、歯ぐきが部分的に親知らずにかぶることが多いです。そうすると、その隙間から食べ物のカスや汚れが溜まりやすくなるため、歯ぐきが腫れてしまいます。これが智歯周囲炎となります。

最初は歯ぐきに炎症が起きますが、徐々に周りの骨にまで炎症が及んでいきます。炎症が強いと患部から出血や膿が出てくることもあり、顔が腫れてしまったり、口が開けづらくなったりするなどの症状も出てきます。


親知らずが横向きに生えているのは、前述のように汚れが溜まり不潔になりやすい状態です。そのため、虫歯になるリスクもあります。親知らずが虫歯になるだけでなく、1本手前の歯(第二大臼歯)が虫歯になってしまうこともあるでしょう。

歯ぐきの下の方で虫歯になると、鏡でお口の中を見ても見えません。レントゲン写真を撮らなければわからないため、気づかない間に進行し、あるときいきなり痛みが出る可能性もあります。


親知らずの周りは歯磨きが難しく、不潔になりやすいため口臭がで発生することがあります。また、智歯周囲炎になると膿が出てくることがあるため、口臭の原因になりかねません。


親知らずが横向きに生えていると、手前の歯を押してしまうことが。常に力がかかり続けると少しずつ前歯が移動していき、歯並びが乱れる原因となることがあります。

トラブルの対処法


智歯周囲炎になってしまった場合、抗菌薬および消炎鎮痛剤の投与を行い、腫れが引くのを待ちます。その後、部分的に残っている歯ぐきを切除する外科処置をすることもあるでしょう。しかし症状を繰り返すようであれば、やはり抜歯を勧められます。

親知らずに虫歯ができている場合も、抜歯をした方がよいでしょう。虫歯の部分を放置すると1本手前の歯にも影響が出てしまい、最悪の場合、その歯まで抜かなければならないことも。そうならないためにも、早めに抜歯を勧められることが多いです。

しかし、第二大臼歯が大きな虫歯になっているものの、親知らずは問題ないというケースもあります。その場合は第二大臼歯を抜歯してから、部分矯正で親知らずを第二大臼歯の位置に徐々に移動させるという方法もあります。しかし、すべての方に適応となるわけではないため、歯科医師とよく相談したうえで判断してください。

すべての親知らずは抜かないといけないのか?



もちろん、すべての親知らずを抜歯する必要はありません。例えば、しっかりと真っ直ぐに生えていて、噛み合わせにも問題ないなら無理して抜かなくてもよいでしょう。また、骨の中に完全に埋まっている親知らずも、特にトラブルがなければ急いで抜く必要はないと考えられます。

そのほかにも手前の大臼歯に抜歯する必要が生じたとき、親知らずがあるならブリッジや入れ歯の土台として使用する場合もあります。また、親知らずを抜いた大臼歯の場所に再植(移植)することが可能なケースもあるでしょう。

そのため、すべての親知らずを急いで抜く必要はありません。しかし、すべての治療には個人差があるため、歯科医師とよく相談したうえで決めてください。

親知らずの磨き方


親知らずにトラブルを抱えないためには、日頃のケアが欠かせません。親知らずは一番奥にあるため、なかなか歯ブラシが届かない場所となります。歯ブラシをまっすぐ奥に入れても磨けない場合は、頬側から斜めに歯ブラシを入れて磨いてください。大きく口を開けて磨くと歯ブラシが奥まで入りにくくなるため、少し口を閉じ気味にして磨くのがオススメです。

また、部分磨きがしやすい「タフトブラシ」を使用するのも効果的です。歯ブラシが届かない部分や、親知らずと歯ぐきの隙間も磨きやすくなるでしょう。ただし歯ぐきを傷つけてしまう恐れがあるため、強い力でゴシゴシと磨かずに優しく小刻みに動かすことを心がけてください。


ご自身で一所懸命磨いていても、完全に磨ききることはできません。そのため、定期的に歯科医院でクリーニングを受けるのがオススメです。また、痛みや腫れなどの症状がある場合は我慢せず、できるだけ早く歯科医院を受診してください。

監修者

歯科衛生士
棚橋沙紗
棚橋沙紗 氏の近影

たなはし さあしゃ。歯科衛生士。平成22年3月歯科衛生士資格を取得し、歯科医院にて勤務。歯科領域のコラム執筆などにも従事。

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