お口ケア
2018.10.25

歯にいい食べ物ってあるの?

歯を保つのにいい食べ物は、あるのでしょうか。

歯が形成されていく段階の子どものみならず、日々、歯の再石灰化がされている大人でも、歯を健康に保つための栄養素は必要です。
その栄養素には、次のようなものがあります。

カルシウム、マグネシウム、たんぱく質、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、フッ素

これらの栄養素を含む食べ物が、歯にいいということになります。どんな食べ物があるのかみていきましょう。


歯は、再生されることのない組織です。
虫歯で歯が溶けたり、治療で歯を削ったりすると、二度と元に戻すことができないだけに、普段から歯を大切にしようと心掛けている人も多いでしょう。

そんな大切な「歯」ですが、普段の食生活とも深く関りがあることをご存知ですか?
歯が発育する時期や再石灰される過程では、さまざまな栄養素が必要となります。歯の原料となる栄養素について解説するとともに、歯にいいとされる食べものをご紹介します。

歯の発育期は意外と長い?


歯の発育というのは、生まれる前から始まっています。
例えば、一番初めに生えてくる乳歯の前歯は、妊娠2カ月頃から発育が始まります。それが生後6カ月~8カ月にかけて生え、その後1年間ほど歯根の成長が続いていくのです。この間に、エナメル質象牙質の原料が不足すると、いろいろなトラブルが生じるため注意が必要です。

ちなみに、歯の生えてくる順番というのはある程度決まっていますので、発育期もそれぞれ異なります。
ですから、12歳頃に生えてくる第二大臼歯の発育は、歯根も含めると中学生くらいまで続いているのです。それだけに、子どもの毎日の食事は、健康な歯を作る上で非常に重要な要素といえるのです。

大人の歯も栄養素が必要


すべての歯が生えそろって、歯冠から歯根までの発育が終わると、もう栄養素は必要がないように思えますよね。
しかし、発育の終わった歯も、毎日「再石灰化」というものが起こっています。これは、「歯の修復作用」のことです。石灰化が正常に起こらなければ、私たちの歯はどんどん溶けていってしまいます。

もう大人になったからといって、歯にいい食べものを食べる必要がなくなるわけではありません。毎日、歯の原料となる栄養素をバランスよく摂ることで、私たちの歯は健康な状態を保つことができます。
そこで、歯の発育や石灰化に必要となる栄養素とそれらを効率よく摂取できる食品について解説していきます。

歯の主要成分であるカルシウム


エナメル質や象牙質の原料となるものといえば、やはりカルシウム。
歯を構成する成分は、ハイドロキシアパタイトと呼ばれる物質であり、その大半はカルシウムによって成り立っています。つまり、カルシウムをしっかり摂ることは、健康な歯質を作る上で必要不可欠。特に、成長期のお子さんはカルシウムをしっかり摂るようにしましょう。

カルシウムが含まれる食品


<魚介類>
シシャモ、干しエビ、シジミ、シラス干しなど

<大豆製品>
木綿豆腐、納豆、生揚げなど

<野菜・海藻類・種実類>
小松菜、チンゲンサイ、切り干し大根、干しワカメ、いりごまなど

<乳製品>
牛乳、ヨーグルト、アイスクリームなど

カルシウムの吸収を促進するマグネシウム


カルシウムがエナメル質や象牙質の原料となることは有名ですが、単独では体に吸収されにくい栄養素であるということをご存知でしょうか。
牛乳や小魚などを一所懸命摂取しても、体の中に摂り込まれなければ意味がありませんよね。そこで有用なのがマグネシウムです。
カルシウムと共に摂取することで、カルシウムの吸収が促進され、末端の組織である歯にも栄養素が行き渡るようになります。

マグネシウムが含まれる食品


<魚介類>
なまこ、アサリ、キンメダイなど

<野菜・海藻類>
ほうれん草、枝豆、オクラなど

<その他>
玄米などの精製されていない穀類、豆類など

タンパク質も不可欠


エナメル質や象牙質の形成には、タンパク質も必要です。
歯は、カルシウムのような無機成分だけで作られていそうなものですが、形成過程ではタンパク質も必要となります。そのため、歯の発育を促す上では、ミネラルだけでなく、タンパク質もしっかり摂取しなければなりません。

タンパク質が含まれる食品


<肉類>
生ハム、鳥ささみ、ローストビーフなど

<魚介類>
イワシ丸干し、いくら、焼きたらこなど

<卵類>
卵黄、ピータン、ゆでたまごなど

<大豆製品>
きな粉、油揚げ、納豆など

<乳製品>
パルメザンチーズ、スキムミルク、プロセスチーズなど

ビタミンAもエナメル質形成に役立つ


エナメル質の形成には、ビタミンAが不可欠です。
歯胚(しはい)と呼ばれる歯の種のようなものが作られる時期に、ビタミンAが不足していると、エナメル質形成不全などが起こりますので要注意です。

ビタミンAが含まれる食品


<肉類>
レバー(鶏・豚・牛)、ハツ(鶏)など

<魚介類>
あんこう(肝)、うなぎ、ほたるいか など

<野菜>
モロヘイヤ、ニンジン、パセリ、バジルなど

ビタミンCもやはり必要


象牙質の形成には、ビタミンCが不可欠。
象牙質が形成される時期にビタミンCが不足すると、象牙質形成不全などを起こす可能性があるので要注意です。

ビタミンCが含まれる食品


<野菜>
赤ピーマン、ブロッコリー、ホウレンソウ(冬)など

<果実>
甘柿、キウイ、いちご など

石灰化を促すビタミンD


ビタミンDは、歯の石灰化を促します。ビタミンDが存在すると、カルシウムの吸収が促進されるからです。
また、骨が作られる際にもビタミンDが重要な役割を果たします。

ビタミンDが含まれる食品


<魚介類>
イワシ丸干し、サンマ、カレイなど

<きのこ>
干しシイタケ、きくらげ(乾燥品)など

フッ素も食べ物に含まれる


フッ素は、栄養素として摂り込むことでも、歯の形成に役立ちます。ただし、摂取しすぎると悪影響が及ぶことがあるため、適度な量に抑えましょう。

フッ素が含まれる食品


<魚介・海藻類>
メザシ、煮干し、お茶の葉など

バランスの良い食事で歯を健康に!


このように、エナメル質や象牙質の原料となる栄養素はさまざまですが、何より重要なのはカルシウムです。
歯の発育や歯の再生を第一に考えた場合、まず必要となるのがカルシウムと覚えておきましょう。それに加えて、カルシウムの吸収を促進するマグネシウムやビタミンDなどもバランスよく摂取すると、健康な歯を作り上げることができます。


<参考・参照元>
歯とお口の発生と育ち方 - 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020
歯でカルシウムの吸収や形成は 行われる?【骨との違いとは】|Web医事新報|日本医事新報社
脱灰と再石灰化 | 歯科なんでも事典で調べよう | い~でんたるへるす| 日本アイ・ビー・エム健康保険組合
歯とカルシウム
どうカルシウムをとればよいの? | 公益財団法人 骨粗鬆症財団
カルシウムを多く含む食品 - 骨粗鬆症財団
元気1番!丈夫で、ニッコリ!健康のためのカルシウムとマグネシウムのお話|すこやかネット|NIPRO-ニプロ株式会社- 「その技術は、人のために。」

監修者

歯科衛生士
粟飯原ももこ
粟飯原ももこ 氏の近影

あいはら ももこ。歯科衛生士。平成18年3月歯科衛生士資格を取得し、歯科医院にて勤務。歯科医療をテーマにした執筆や訪問歯科衛生士に関する冊子制作などにも携わる。

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