お口ケア
2019.08.14

口臭の出やすさに個人差はある? 遺伝や体質など、口臭の出やすさとの関係は

自分の口臭は、気になり始めるとキリが無いように感じられるかもしれません。果たして、この口臭の強さに個人差はあるのでしょうか。

今回は口臭と遺伝・体質などとの関係について解説していきます。また、今からできる口臭対策の方法についても取り上げますので、ぜひ参考にしてみてください。


口臭の原因の90%は口内環境にある


胃の調子が悪かったり耳鼻咽喉科系の病気があったりすると、口臭が強くなることがあるでしょう。しかし口臭の原因の90%以上は、口内環境にあると言われています。具体的な原因については、以下の通りです。

  • 苔(ぜったい)

舌苔は口臭と大きな関係があります。鏡で舌を見たときに、何色をしているでしょうか。少し白っぽい色をしているならば問題ありません。しかし、真っ白な厚い汚れがついていたり、茶色あるいは黒色をしていたりする方は、かなりの汚れが舌に溜まっていることになります。この舌に付着した汚れが“舌苔”です。

私たちの舌の表面は、無数の小さな突起があります。そこに口内の細菌や食べ物のカス、粘膜から剥がれ落ちるアカなどが溜まることで舌苔となるのです。そしてこの舌苔が、口臭の原因となってしまいます。


歯周病も口臭の原因となります。歯周病とは、口内の歯周病菌が徐々に歯周組織を破壊していく感染症です。最初は歯ぐきに炎症が起きますが、徐々にその炎症は歯を支えている歯槽骨を溶かして、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。

歯周病菌は口臭のニオイ物質を排出するほか、炎症が強くなると膿が出てくることが。そのため、口臭が強くなってしまいます。


虫歯は口内の虫歯菌が出す酸により、徐々に歯が溶かされていくことによってできます。
初期の虫歯が口臭の原因となることはありませんが、進行してくるとその穴が食べ物のカスや細菌のたまり場となるため、口臭の原因となるのです。また、歯の中の神経が腐ってしまうと、かなり強いニオイを発生させます。


口内が乾燥していると、口臭が強くなります。例えばいつも口呼吸をしている、あるいは薬の副作用などで唾液の分泌量が少ないといった方は、口内の細菌が増殖しやすくなるでしょう。
そのため、口臭が強くなることがあります。

口臭のニオイ物質とは?



では、口臭のニオイ物質の正体は何なのでしょうか。口臭の原因となるニオイ物質は、約20種類あると言われています。その中でも特にニオイが強いのが、「揮発性硫黄化合物(VSC)」です。歯周病菌などの菌が、食べかすや血液成分などの中に含まれる栄養素を代謝・分解する際に、この揮発性硫黄化合物を発生させます。なお、この揮発性硫黄化合物は主に以下3つのガスによって構成されています。

1. 硫化水素

硫化水素は、卵が腐ったような鼻につくニオイを発生させます。

2. メチルメルカプタン

メチルメルカプタンは、たまねぎが腐ったような悪臭を発生させます。

3. ジメチルサルファイド

ジメチルサルファイドは、生ゴミのようなニオイを発生させます。

口臭自体は遺伝しないが、生活習慣が関係していることも


親の口臭が強いと、子どもの口臭も強くなるのではと気にされる方がいるようです。果たして、本当に口臭は遺伝するのでしょうか。

結論から言うと、口臭自体が遺伝することはありません。これまでご説明してきたように、口臭の原因は細菌が発生させるガスと関係しており、ほとんどは口内環境に原因があるためです。しかし、家族であれば生活習慣が似てくるため、同じように口臭があるように感じるかもしれません。例えば親が歯磨きをあまりしなかったり、口内への関心が薄かったりすると、お子さんの口内も汚れていることが多いでしょう。

また、食べ物の好みも関係します。口臭の中には、食べ物から発生するものがあります。
例えばニンニクを食べるのが好きなご家庭であれば、当然、そのご家族の方は同じようなニオイがになるでしょう。そのため、体質や遺伝というよりも、生活習慣が似ているために家族で同じような口臭が発生することがあります。

口臭を抑えるために、今からできること


最後に、口臭を抑えるために今からできる3つのことをご紹介します。

1.セルフケアする

やはり、口内が不潔であれば口臭のリスクも高くなります。毎日丁寧に歯を磨き、歯間ブラシなどで歯と歯の間もお掃除しましょう。そして1日1回、朝に舌用ブラシで舌の表面も優しく磨くことを習慣にしてください。

2.歯科医院で治療する

歯周病や虫歯がある方は、歯科医院で治療を受けましょう。また、何もなくても定期的に歯科医院で口内を掃除してもらうことは、口内の健康をキープするうえで欠かせません。

3.唾液の分泌量を増やす

口内が乾燥していると、口臭は強くなります。例えば口呼吸している方は、できるだけ鼻呼吸に切り替えましょう。また、よく水分補給を行うほか、唾液腺マッサージなども試してみてください。


口臭が強いと、周りの人に不快な思いをさせてしまいます。そうならないためにも、今日から口臭対策に取り組んでいきましょう。

監修者

歯科衛生士
棚橋沙紗
棚橋沙紗 氏の近影

たなはし さあしゃ。歯科衛生士。平成22年3月歯科衛生士資格を取得し、歯科医院にて勤務。歯科領域のコラム執筆などにも従事。

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