お口ケア
2019.06.26

口臭が気になる……そんなとき、歯科医院ではどんな対策がしてもらえるの?

口臭虫歯歯周病に次ぐ歯科疾患と言われることもあり、古くは紀元前500年頃に口臭治療が行われていたという記録が残っています。

しかし口臭は、根拠に欠ける診断や治療方法が氾濫しているのも事実でしょう。今回は国際的に分類されている口臭症や病院で行われている検査、対処方法について説明していきます。


口臭の種類は大きく分けて3つ


口臭症の国際分類には、大きく分けて以下の3種類があります。

  1. 社会的容認限度を超える明らかな口臭が認められる真性口臭症
  2. 口臭を気にされているが社会的に容認限度を超える口臭ではないといった仮性口臭症
  3. 上記の2つに対する治療では訴えの改善が期待できない口臭恐怖症

これらの中で仮性口臭症については、口臭検査の結果や説明(カウンセリング)などを行うことで改善が期待できます。また口臭恐怖症については、精神科や心療内科への受診が推奨されるでしょう。ここでは上記で挙げた中から、真性口臭症について詳しくご説明していきます。

真性口臭症は、さらに生理的口臭と病的口臭の2つに分類されています。まず生理的口臭とは、朝の起床時や緊張しているときに感じる、原因のない口臭のこと。
これは一時的であることが多く、口腔内の清掃やセルフケアの改善によって症状の改善になるとされています。

これに対して病的口臭には、口腔由来のものと全身由来のものがあります。口腔由来は歯周病や虫歯、ドライマウスなど口腔内の疾患によるものや、の表面にできる舌苔(ぜったい)や歯垢が挙げられるでしょう。

全身由来は口腔以外が原因であるものを指し、耳鼻咽喉や呼吸器の疾患、消化器や腎の疾患、糖尿病、肝臓、女性であれば月経によるものなどが挙げられます。

歯科医院での検査方法は?



口臭の検査は一般歯科で扱っていることが少ないため、口臭外来などのある専門の歯科医院で調べてもらうことをオススメします。
口臭の検査や測定には、官能的検査法という術者の嗅覚による判定方法と機器を使った測定方法があります。

<官能的検査法>


官能的検査法は臭いを認知する距離や臭気の強さ、質を嗅覚で判定・評価する方法です。縦80~100cm×横50~60cmのスクリーンを用いて中央よりやや上に直径2~2.5cmの穴を空け、そこに長さ10cmのチューブを固定したUBC式官能検査装置と呼ばれる装置を用います。
この装置のチューブの一方からゆっくりと呼気を吐き出してもらい、それを反対側から検査者(ある程度匂いを判断できるとされる歯科医師)が嗅ぐといったものです。

<機器による測定>

  • ガスクロマトグラフィー

サンプルに含有されたガスを分離して、化学分析によって含まれている成分の量を測定します。ガスクロマトグラフィーは精度の高い分析方法でありますが、設備が大掛かりで高価であること、また機械の調整に時間がかかることから使用している医院が少ないのが現状です。
大きな病院であれば使用している場合もありますので、希望する場合は問合わせるとよいでしょう。

  • 半導体式ガスセンサー(硫化物モニター)

一般的な口臭測定器として普及されているもので、口腔内の揮発性硫黄化合物(唾液や組織、食物残さなどが菌により腐敗し生じたもの)を測定します。
しかしこれ以外の臭いは、タバコやニンニクであっても検知できません。利点としては、治療前後でのガス濃度の変化を比較できるといったことが挙げられます。

測定機器においては、ガスクロマトグラフィーがより細かい情報を知ることができます。口臭の主な原因物質は揮発性硫黄化合物ですが、全身疾患由来のものもあるため、かかりつけの歯科医師とよく相談するようにしましょう。
なお、検査前には以下の点に注意するようにしてください。

  • 香水や香料入りの化粧品や整髪料の使用は24時間前から控える
  • ニンニク、ニラ、玉ねぎなどの匂いの強い食べ物は48時間前から控える
  • 検査の3週間前から抗生物質の使用は控える
  • 検査当日は飲食、歯磨きをせずに来院する
  • 喫煙されている方は12時間前から禁煙する

診断による対処方法は?


次に、病的口臭の対処方法についてご説明していきましょう。口腔由来の病的口臭では、検査結果をもとに自宅で行うセルフケアの指導を歯科衛生士や歯科医師から受けます。
これに則り、自宅でのセルフケアを改善することも大切です。そして自宅では難しい細かな専門的清掃を歯科医院で行い、必要に応じて虫歯の治療をおこなっていきます。

なお、歯周病による口臭であった場合は、専門的清掃だけで回数が多くなります。よく説明を聞いたうえで、通院をしてください。

全身由来の病的口臭では、検査結果にもとづいた説明と自宅でのセルフケア方法について指導があります。そして口臭の原因が口腔内ではないため、紹介を受ける専門の医科で受診してください。

セルフケアでは舌苔を取る磨き方、歯と歯の間や歯と歯肉の境目等の細かい箇所の磨き方、フロスや歯間ブラシの使い方など、個人に合わせた方法を指導されます。また、唾液には細菌の増殖を抑制する抗菌機能があるため、口腔内が乾燥しやすい場合などは舌の体操や唾液腺のマッサージなどの指導を受けることもあるでしょう。
いずれにしても、自宅でしっかり実践できるようにしてください。

測定すれば改善方法も明確に


口臭は自分では気付きにくく、そして、他人も注意がしにくいものです。そのため、自分がどの程度の口臭を出しているのかなど、不安になるかもしれません。
口臭を測定すると、自分の口臭はどういった種類のものであるのか、そしてどんな方法で改善できるのかが明らかになります。口臭による不安を払拭するためにも、測定をしたうえで対策をおこなうことをオススメします。

平成11年に行われた厚生労働省の保健福祉動向調査の結果によると、約70%の方がお口の中に何らかの問題があると回答し、その中の約15%の方が口臭を気にされているといったことがわかりました。また、口臭を気にされている方の年齢は35~44歳の方で17.7%、45~54歳の方で20.7%となっており、30代~50代と中高年層の方が多い様子がうかがえます。

これは歯周病にかかる方が増えてくる年代でもあるため、気になる場合にはかかりつけの歯科医院で一度相談してみるとよいでしょう。

監修者

歯科衛生士
田仲真菜美
田仲真菜美 氏の近影

たなか まなみ。歯科衛生士。平成27年4月歯科衛生士資格を取得し、歯科医院にて勤務。歯科領域のコラム執筆などにも従事。

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