お口と美
2019.06.05

悪い歯並びの種類ってこんなに!? 歯列不正の種類と矯正方法

歯並びが悪いことをコンプレックスに感じている方は多いものです。
歯並びが悪い状態のことを「歯列不正」といいます。そんな歯列不正(しれつふせい)には、さまざまな種類があるのをご存知でしょうか。


歯列不正の種類と、それぞれに適した矯正治療法について詳しく解説します。

歯列不正の種類


歯科医院で治療の対象となるような歯列不正には、以下のようなものがあります。
もし、歯列不正に悩まされているようなら、どのタイプに当てはまるのかチェックしてみてください。

上顎前突(じょうがくぜんとつ)


上顎前突とは、一般的に「出っ歯」と呼ばれている歯列不正のこと。
前歯が前方に突出しているため、顔貌に大きな特徴が現れます。上顎前突は、先天的な下人として上顎骨が下顎骨よりも大きいといった遺伝的な要因が関係していることがあります。後天的な原因としては、指しゃぶりなど、前歯に継続的に力がかかっていたことが考えられます。

下顎前突(かがくぜんとつ)


下顎前突とは、一般的に「受け口」と呼ばれる歯列不正です。
下の顎が前方に突出しているため、「顎がしゃくれている」と表現されることもあります。そんな下顎前突も上顎前突と同様、遺伝的な要因や、口呼吸などが原因と考えられています下顎前突は、できるだけ早い段階で矯正しなければならない歯列不正の一種です。

上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)


上下顎前突とは、上下の顎や前歯が前方に突出した状態のことをさします。顔貌には口元の突出感が顕著に現れ、唇が閉じにくく、無理に唇を閉じると周辺の筋肉が緊張してしまうことも。
上顎前突や下顎前突と同様、歯の生え方が原因となることもあれば、骨格が原因となることもあります。

叢生(そうせい)


叢生とは、一般的に「乱ぐい歯」と呼ばれる歯列不正のことです。
それぞれの歯が別々の方向を向いて生えているため、歯列全体がガタガタに見えてしまいます。
歯磨きがしにくく、虫歯歯周病のリスクが高いのも叢生の特徴です。ちなみに、八重歯と呼ばれる歯列不正も、叢生の一種であるといえます。

空隙歯列(くうげきしれつ)


空隙歯列とは、一般的に「すきっ歯」と呼ばれる歯列不正で、歯列の中にすき間が存在している状態のこと。その中でも、上の前歯の真ん中にすき間が生じているケースをすきっ歯と呼ぶことがあります。
見た目が悪いだけでなく、食べ物がすき間に詰まり、発音障害の原因となることがあるので要注意です。

過蓋咬合(かがいこうごう)


過蓋咬合とは、上下の歯列が深くかみ合っている歯列不正です。通常上下の歯は少し重なりあう程度がよいのですが、過蓋咬合になると歯と歯の接触が強すぎてしまいます。
かみ合わせの異常なので、不正咬合(ふせいこうごう)と呼んでも間違いではありません。上下の歯が深くかみ合っていると、お互いに歯質を摩耗させることがあるため要注意です。

交叉咬合(こうさこうごう)


交叉咬合とは、文字通りかみ合わせがずれている(交叉している)部分がある歯列不正です。
上下の歯列というのは、正常にかみ合う場所が決まっているため、それがズレてしまうと、本来の歯の機能を果たせず、歯や顎関節に与える負担が大きくなることがあります。また、顎の位置もずれるため、顔つきに影響が現れることがあります。

矯正治療の種類とそれぞれの特徴


矯正治療に用いられる矯正装置には、以下に挙げるような種類が存在しています。それぞれ改善できる歯列不正や不正咬合が異なります。

ブラケット矯正


ブラケット矯正とは、一般的にはワイヤー矯正と呼ばれる矯正治療法のこと。マルチブラケットと矯正用ワイヤーを用いて歯並びを改善します。
ブラケット矯正は、オールマイティな矯正治療法なので、上述した歯列不正のすべてに適用することが可能です。しかし、外科的矯正治療が必要な場合など、症例によっては適用できないこともあるため、まずは矯正歯科で診察を受けてみましょう。

裏側矯正


裏側矯正は、側ブラケットを用いた矯正治療法です。一般的なワイヤー矯正を歯の裏側(舌側)に取り付けるものです。
矯正装置が歯列の裏側に設置されるため、治療期間中に口元の審美性が低下することもなく、ブラケット矯正と同様に、ほぼすべての歯列不正に適用できます。しかし、こちらも症例によっては適用できない場合があります。

部分矯正


部分矯正とは、歯並びの悪さを部分的に改善する矯正治療法です。
叢生や空隙歯列など、部分的な歯列不正を治すのに適しています。施術部位が限定されるため、治療期間も短くなります。

マウスピース矯正



マウスピース矯正とは、マウスピースを装着することで歯並びの悪さを改善する矯正治療法のことです。
マウスピースは透明であるため、装着時に目立ちにくいことが特徴です。また、表面の性状が滑らかなので、装着時の違和感も比較的少なくすみます。
しかし、適用できる症例が限定されてしまいます。基本的に、大幅な矯正が求められる歯列不正には適用しにくい矯正治療法といえます。

外科矯正


外科矯正は、顎の骨を切ったり削ったりすることで、顎の骨格自体を大きく変える矯正治療法です。
上顎前突や下顎前突などで、骨格的な異常に由来している不正咬合には、外科矯正が適しています。メスで切開をし、顎の骨を切除するなどの外科処置を伴うため、事前に精密検査が必要となります。


一口に歯列不正といってもその種類は多く、それを改善する矯正治療法もまたさまざまです。
まずは自分自身がどの歯列不正に該当するのか、歯科医院で調べてもらいましょう。その上で、適切な治療を選択することが大切です。


<参考・参照元>
歯並び - 歯列不正の種類と原因、その治療方法 ストローマンパートナーズ
日本形成外科学会 会員の方へ 形成外科で扱う疾患 その他 上顎前突症

監修者

歯科衛生士
廣澤尚子
廣澤尚子 氏の近影

ひろさわ なおこ。歯科衛生士。平成14年4月歯科衛生士資格を取得し、美容外科の歯科部門や歯科医院で勤務。歯科衛生士としての経験と知識を生かし、歯科関連の執筆にも多く従事している。

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