お口ケア
2018.12.05

唾液が少なくなると健康に悪影響がある?


唾液や唾液腺は、お口の健康だけでなく体の健康にも関わる大切な役割を担っていることをご存知ですか?
唾液の分泌を促すことで、口内環境は整えられます。

今回は、唾液・唾液腺の重要性について詳しくご紹介します。

唾液・唾液腺とは?


唾液が出る部分を唾液腺と呼びます。
唾液腺は大きく「耳下腺」「顎下腺」「下腺」に分けられ、それぞれ出る部分が異なっているほか、出る部分によっても唾液の種類が違います。
また、お口の環境によって差があるものの、唾液は1日に約1000~1500mlの量が唾液腺から分泌されます。

唾液には抗菌作用や消化作用、自浄作用、緩衝作用などさまざまな働きがあり、お口の中はもちろん、全身の健康を守る大切な役割をしています。

唾液の働き


それでは、唾液がどのような働きを担うのか、詳しく見ていきましょう。

1. 細菌の増殖を防ぐ


唾液に含まれている抗菌作用のリゾチームは、細菌の細胞壁を分解して細菌の組織を壊し、細菌の増殖を防ぎます。
また、ラクトフェリンは細菌の発育を阻害する働きをするため、こちらも細菌の増殖を防いでくれます。

2. 虫歯予防のはたらき


食事をするとお口の中が酸性に傾き、20~30分かけて中性に戻ります。歯のエナメル質は「PH5.5以下の酸性」で脱灰を始め、初期虫歯に進行してしまいます。
唾液の分泌量が増えるとお口の中の酸性を中性に戻してくれるので、虫歯予防になるのです。

また、唾液の中にある「ハイドロキシアパタイト」という成分には歯の再石灰化を促して脱灰した歯を修復してくれる働きがあり、虫歯予防に効果を発揮します。

3. 食べ物の消化を助ける

唾液には「アミラーゼ」という消化酵素が含まれており、消化を助ける効果を持ちます。

4. 味覚を感じやすくする


唾液には食べ物を分解することで、味覚を感じやすくする働きがあります。
また、下の表面にある味覚を感じる「味蕾(みらい)」は、唾液を通して食べ物の味を感じることができます。

5. 口の中の潤いを保つ


唾液の成分である「ムチン」というタンパク質は、お口の中の粘膜を潤し、お口の中を守ってくれます。

唾液の種類


唾液には、大きく分けて2つの種類が存在します。それぞれの特徴を確認しておきましょう。

<サラサラ唾液>

サラサラした唾液は特に「耳下腺」と「顎下腺」から分泌されており、副交感神経がコントロールしています。これはリラックスしている状態や食事中に分泌されることが多いです。
また、消化吸収を助ける役割を担っており、口の中を洗浄して中性に保ってお口の健康状態を守ってくれます。

<ネバネバ唾液>

ネバネバした唾液は特に「舌下腺」から分泌されており、交換神経がコントロールをしています。
緊張状態やストレスを感じた時に分泌されることが多く、細菌を絡めとり体内への心中を防ぎます。また、口内の粘膜を守り、保湿も担います。

唾液が少なくなるとどうなるの?


唾液が少なくなると、いったいどうなってしまうのでしょうか。
具体的に3つの事柄について見ていきましょう。

1. 口臭がする

唾液には、汚れや細菌を洗い流してくれる自浄作用があります。
そのため、唾液が少なくなってしまうと汚れが付着したままとなり、口臭の原因となります。

2. 虫歯や歯周病のリスクが増える


唾液の抗菌作用には、虫歯菌や歯周病菌に対して繁殖を抑える働きがあります。
唾液が減少するとこの抗菌作用が弱くなってしまい、虫歯や歯周病のリスクが増加してしまいます。

3. お口の粘膜が傷つきやすくなる


唾液はお口の中に傷がつかないようにする潤滑作用を持ち、粘膜保護の役割を担っています。
唾液が少ない状態では、お口の粘膜が傷つきやすくなります。

たくさん唾液を出すには?


最後に唾液を多く出すための方法について、4つご紹介します。

1. 唾液腺マッサージ


耳下腺と顎下腺、舌下線の唾液腺のマッサージで、唾液の分泌を促すことができます。
<耳下腺のマッサージ>

耳下腺は耳と頬の間の部分です。
この位置を親指以外の4本の指を使い、前に向かってゆっくり10回ほど回します。

<顎下腺のマッサージ>

顎下腺はあごの骨の内側の柔らかい部分にあります。耳の下あたりからあごの下まで、5カ所を親指でゆっくり押していきましょう。
5回ほどを目安に行ってみてください。

<舌下腺のマッサージ>

舌下腺はあごの真下にあります。この部分を、両手の親指を揃えて舌を突き上げるように10回くらいゆっくり押していきましょう。
痛みがない程度の強さに抑え、のどの部分まで押さないように注意してください。

2. よく噛んで食べる

よく噛むと脳に刺激が伝わり、唾液の分泌が増えます。

3. 舌の体操


舌を動かすと唾液腺が刺激されるので、唾液の分泌につながります。
舌を前に出して左右に動かしたり、右回り・左回りに歯茎をなぞるように根元から動かしてください。
どちらも3回ずつしてもらえれば、効果が見込めます。

4. ガムを噛む


食事だけでは、噛むことが不十分でになることもありますが、ガムを噛むと唾液の分泌が増えるのでオススメです。


唾液にはさまざまな役割があり、お口の環境を整えてくれています。その働きによる効果を多く得るために、唾液の分泌をしっかり促してあげましょう。
唾液腺マッサージや舌の体操などは、すぐに取り入れやすいものばかりです。ぜひ、試してみてください。



<参考・参照元>
唾液の働き | 歯の健康 基本のき | オーラルケア情報 | クリアクリーン | 花王株式会社
唾液の働きとかむことの大切さ
唾液はどれくらい大事なの?
うま味の生理学 | 日本うま味調味料協会
唾液には、サラサラとネバネバの2種類があった! | クラブサンスター

監修者

歯科衛生士
廣澤尚子
廣澤尚子 氏の近影

ひろさわ なおこ。歯科衛生士。平成14年4月歯科衛生士資格を取得し、美容外科の歯科部門や歯科医院で勤務。歯科衛生士としての経験と知識を生かし、歯科関連の執筆にも多く従事している。

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