舌の位置が悪いと歯並びが悪くなる!? 影響と改善法を紹介
事実、骨格の大きさや形態などは、ある程度遺伝によって決まっており、歯並びの良し悪しもあらかじめ決まっているという面もあります。
しかし、日頃の生活習慣などによっても、歯並びが大きく乱れることがあります。たとえば、“舌の位置”。
舌の位置が悪いことで起きてしまう歯列への5つの悪影響と、それらの改善方法についてご紹介していきます。
正しい舌の位置とは
私たちは普段、安静にしているときは、口を閉じていますよね。その時、舌は「スポット」と呼ばれる部位に位置しています。
スポットとは、上の前歯のすぐ後ろに存在する部位で、ここに舌が位置していることで、顎の発育が正常に進み、歯並びも適切な状態へと整っていくのです。
つまり、正しい舌の位置は、スポットにある状態ということです。
舌の位置が悪いことで起こる5つの悪影響
舌の位置が悪いと、顎の発育に異常が生じ、歯並びが乱れるなど、以下に挙げるようなさまざまな悪影響が及びます。
上顎の歯並びが乱れる
舌が正しい位置に収まっていると、上顎の骨に適度な圧力が加わり、側方へと広がっていきます。その結果、歯列も広がるため、すべての歯がきれいに並ぶことができます。
しかし、舌が正しい位置に収まっていないと、上顎の骨の成長が不十分となり、歯をきれいに並べるだけのスペースを確保することが難しくなってしまいます。そのため、歯並びが乱れることがあるのです。
受け口になる
舌の位置が正しくないと、上顎骨の成長が不十分なります。一方、下顎骨は正常に成長しますので、相対的に下顎の方が前方に突出したような顔貌を呈するようになります。
いわゆる「受け口」と呼ばれている症状が起きるのです。
開咬になる
開咬(かいこう)とは、口を閉じた時に、上下の前歯の間にすき間が生じて、噛み合わない状態のこと。このとき、奥歯はきちんと噛み合っています。
舌の位置が悪いと、この開咬という症状が現れることがあります。これは、日頃から舌を上下の前歯の間に入れていることで、舌の圧力によって前歯が前方へと飛び出し、すき間が生じてしまうためです。
口呼吸になる
人は本来、鼻で呼吸するのが正常であるといわれています。
軽く口を閉じたとき、舌がスポットに位置していると、自ずと鼻から呼吸しているはずです。しかし、舌の位置が低すぎると、普段から口が開いた状態となるため、口で呼吸するようになるのです。
口呼吸は、歯や歯周組織だけでなく、全身にも悪影響が及ぶことがある呼吸法ですので、あまりよい状態とはいえません。
発音が悪くなる
私たちが言葉を発音する際に、舌はとても複雑な動きをしています。それは舌の筋肉自体が担う部分も大きいですが、口腔(こう腔)という空間や、口蓋(こうがい)という上顎の形態も重要な要素となっています。
舌の位置が悪いことによって上顎の成長が不十分な場合、口腔の広さや口蓋の形態にまで異常が生じるため、聞き取りにくい発音になってしまうことがあるのです。
舌の位置を改善するトレーニング法
舌の位置が悪い場合、以下に挙げる3つのトレーニングで改善できることがあります。
舌の正しい位置を覚える
冒頭でも述べた通り、舌はスポットと呼ばれる部位に位置しているのが正しい状態です。
上の前歯のすぐ後ろにあるスポットの位置を覚え、常に舌の先がそこに収まるよう、トレーニングしましょう。
舌の筋肉を鍛える
舌の位置が悪い人は、舌の筋肉が衰えている場合があります。そういったケースでは、舌の筋肉を鍛えるトレーニングが有効です。
舌の先端をスポットに位置付け、舌の奥の方まで口蓋に貼り付けた状態を維持し、お口を開いたり閉じたりしてください。この「オープンアンドクローズ」によって、舌の筋肉が鍛えられ、自然と正しい位置に収めることができるようになります。
正しい舌の位置で食べ物を飲み込む
食べ物を飲み込む際、私たちの舌は先端がスポットに位置し、口蓋に舌背(ぜっぱい)が張り付いた状態で奥へとずれていきます。これを「タングドラッグ」と言います。
タングドラッグができるようになれば、自然と舌も正しい位置に落ち着くようになっていきます。
舌の位置が悪いと、上顎骨の成長が不十分になったり、口呼吸が誘発されたりすることがあります。発音にも影響があるというのは、意外に思われた方が多いのではないでしょうか。
そのなかで、何より重要なのが歯並びを悪くすることがある、という点です。
舌の位置の不具合によって歯並びが悪くなるのは、そのほかの悪影響と密接なつながりがあるため、単独で語ることはできません。しかし、舌の位置の良し悪しによって、歯並びの異常を始めとしたさまざまな異常が生じる可能性があることを記憶に留めておいてください。
ご自身の舌の位置が正常か異常か気になる方は、一度歯科医院で診てもらうことをオススメします。