お口ケア
2019.01.22

歯垢と歯石の違いとは?歯石は自分では落とせない!


歯垢は、正しい歯ブラシをしっかり行えば落とせますが、歯石になると自分で落とすことはできません。
では、歯石を除去するためにはどうすればいいのか。歯垢との違い、歯石ができる仕組みや予防方法とあわせ、ご紹介します。

歯垢とはどんなもの?


歯の表面にネバネバ、ザラザラを感じたことはありませんか。
そのネバネバやザラザラの正体が歯垢(プラーク)。細菌のかたまりで、虫歯歯周病の原因でもあります。

歯の表面には、唾液の成分であるたんぱく質などによって、薄い膜である「ペリクル」が形成されます。
これは、歯の表面の組織であるエナメル質を酸などから保護する働きがありますが、ペリクルの表面は粘着性があり、口の中に潜在する口腔内細菌を付着・定着させてしまいます。その結果、歯垢が形成されるのです。

歯垢はブラッシングなどで除去することができますが、磨きにくいところなどで除去されないと、唾液の中のリンやカルシウムなどによって「歯石」となってしまうのです。

歯石ができるしくみは?


歯石は歯の表面に付着した歯垢が石灰化したもののことです。
毎日ブラッシングしていても、磨きにくい場所や汚れが溜まりがちな場所には歯垢が残ってしまうことが多くなってしまいます。
そのときに除去しきれなかった歯垢が2日程そのままの状態で置かれると、歯石に変化してしまいます。

歯石そのものは、虫歯を引き起こすことはありません。
しかし、歯石の表面はざらついていて、歯垢が付着しやすくなっています。その付着した歯垢を餌にさらに細菌が増殖してしまうと、歯周病や口臭を引き起こしてしまうのです。

歯石となると、歯磨きでの除去は不可能。
歯石除去は、歯科医院で行わなければなりません。口内環境を整えるためにも、歯科医院での定期健診の受診をオススメします。

歯石ができやすい場所とは?


では、そんな歯石ができやすい場所はどこでしょうか。

下の歯の裏側


下の歯の裏側には唾液の出る唾液線があり、歯垢が残っていると歯石となるリスクが高い環境にあります。
また、歯の裏側は意識して磨かないと磨き残しが多くなってしまう部分でもあります。そのため、歯垢が溜まって歯石が付着しやすい場所といえるでしょう。

上の奥歯の頬側


上の歯の頬側にも唾液線があり、歯石が付着しやすい場所となっています。さらにブラッシングもしにくく、歯ぐきと歯の境目に汚れが残りやすいなど、歯石ができる条件がそろっています。
この部分は細かく順番を決めて磨かないと歯垢が残りやすいので、特に丁寧に磨くことを心がけましょう。

出血している場所


石灰化は唾液だけではなく、出血でも促進されます。
歯ぐきが腫れて出血していると、歯石ができやすくなってしまいます。
また、出血している場合には歯ぐきに炎症が起こっている可能性が高いので、歯科医院で確認しておくと安心でしょう。

歯石予防のポイント



細かな歯ブラシやデンタルフロス


歯磨きは、大きな幅で一気に磨こうとすると、どうしても磨き残しが多くなってしまいます。

歯を磨くときは、1~2本ずつ磨くように細かく動かしてください。このとき、歯と歯ぐきの境目は汚れが残りやすい部分なので、歯ぐきに対して歯ブラシを斜め45°に当てて細かく動かすことを心がけてください。

また、歯ブラシを用いるブラッシングだけでは、デンタルケアは十分とはいえません。

歯ブラシだけでは汚れが残りやすい歯と歯の間は「デンタルフロス」を使用し、磨き残しを落としていきましょう。
デンタルフロスは、ただ通すだけでは汚れを落とすことはできません。フロスは歯に引っ掛けるようにして、上下に数回動かして、歯の側面の汚れを落としていきます。これを反対の側面でも行います。

染め出しで汚れの確認


歯垢を染め出してくれる「歯垢染色剤」を使用すると、すぐに歯垢が付着している場所の確認が可能に。歯垢染色剤は磨き残しを手軽に把握でき、自分の磨き方のクセも知ることができます。染まったなかで磨くのが苦手だと感じる部分は、特に念入りに細かく磨いていってください。

歯磨き粉を使用すると口内に清涼感が行き渡るため、しっかりと磨けていると感じてしまいます。しかし実際には、きちんと磨けていないことが多いのです。苦手な部分は最初に磨いておくと、効果的に汚れを落とすことができます。

定期的に染め出しを行って、歯磨きができていない場所をチェックし、毎日のデンタルケアの改善に生かしてください。


自分で歯石を除去できる?


自分で行う方法はおすすめできません


前歯の一部には歯石が取れる部分もありますが、正しい方法で行わないと歯に細かな傷をつけてしまい、余計に汚れが着きやすくなってしまいます。

インターネットなどで歯石を取る器具が販売されていることがありますが、歯石は歯磨きで落とし切れない部分に付着することが多いので、こうした器具を使って自分で落とすことは難しいでしょう。

自分での除去を試みた場合、歯ぐきを傷つけてしまう可能性もあります。自分だけでは目に見えている一部分しか除去できず、口内環境が改善しないということも考えられます。自力での歯石除去はあまりオススメできません。

歯医者で行う方法は?


歯石は「スケーラー」という器具を使用して除去していきます。

スケーラーは機械で動く超音波のスケーラーを使用することが多く、水を出しながら細かな振動で汚れを落としていきます。その他には手用のハンドスケーラーもあり、これは歯ぐきの境目の深い部分などに使用されることが多いと思います。

歯石は付着している期間が短いほど、簡単に除去することができます。
定期的に除去することで、自身の負担を減らすことに繋がります。定期健診などを受診し、健康的な口内をキープしていきましょう。

歯石予防は、毎日のセルフケアが大切です。
日々の歯磨きには歯石予防のポイントも取り入れて、セルフケアを充実させましょう。歯石が付着している場合は、歯科医院での除去をオススメします。

監修者

歯科衛生士
廣澤尚子

ひろさわ なおこ。歯科衛生士。平成14年4月歯科衛生士資格を取得し、美容外科の歯科部門や歯科医院で勤務。歯科衛生士としての経験と知識を生かし、歯科関連の執筆にも多く従事している。

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