歯周病になりにくい歯みがきの方法は?
歯周病の初期症状は歯ぐきが腫れ、歯磨きする際などに少量の出血をともなう歯肉炎というもの。
そのため症状を見逃しがちですが、歯周病を放置してしまうと歯ぐきだけではなく、歯根膜やセメント質、歯槽骨にまで炎症が広がって破壊されます。
最後には歯を支えきれなくなり、歯が抜け落ちてしまう恐れもあるのです。
歯周病は成人の約80%が罹患していると言われており、誰もが歯周病に罹患する可能性を持っているポピュラーな病気です。
歯周病によって破壊され、抜け落ちてしまった歯は二度と生えてきません。
では、歯周病の予防のためには、具体的にどのような方法があるのでしょうか。
まず覚えておいていただきたいのが、正しい歯磨き方法を身に着け、毎日のセルフケアを行うことがとても重要だということ。
ここでは正しい歯ブラシの選び方、そして歯磨きの方法をご紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
歯周病になりにくくするための歯ブラシの選び方
さまざまな種類の歯ブラシが販売されていますが、大切なのは自分自身に合った歯ブラシで歯磨きを行うことです。
歯ブラシの毛の硬さは、「やわらかめ」「ふつう」「かため」の三段階に分かれています。
一般的には「ふつう」の毛の硬さがオススメとされていますが、歯ぐきが腫れて炎症している場合は、歯ぐきを傷つけにくい「やわらかめ」の毛の硬さを選択すると良いでしょう。
これで歯周病は怖くない!正しい歯磨きの方法
では次に、歯周病になりにくくするための正しい歯磨きの方法をご紹介します。
歯磨きの方法は健康な歯ぐきに適した磨き方と、歯周病改善・予防に適した磨き方とが分類されているのです。
スクラビング法
歯ブラシの毛先を歯面に直角(90度)に当てて、歯ブラシの柄を左右へ小刻みに動かします。
スクラビング法は健康な歯ぐきの場合に行う歯磨きの仕方。満遍なく歯面を磨くことができます。
バス法
歯ブラシの毛先を歯面に対して45度に傾けて当て、左右へ小刻みに歯ブラシの柄を動かします。
このとき、歯と歯ぐきの間の隙間である歯周ポケットに毛先の先端が入るようにし、歯周ポケット内に溜まった歯垢(プラーク)や食べカスを除去しましょう。
腫れた歯肉を歯ブラシの毛先で刺激することにより、出血してしまう場合があります。ただし、少量の出血量であれば問題ありません。
基本の歯磨きの方法
では、ここで基本となる歯磨きの方法をおさらいしましょう。
日々何気なく行う歯磨きですが、だからこそ正しく行うことが大切です。
1. 自分に適した歯ブラシ・鏡を用意しましょう
健康な歯ぐきの場合は「ふつう」、歯周病の場合は「やわらかめ」、磨く力が弱い場合は「かため」の毛先を選択しましょう。
磨く力の強い人が「かため」を使用してしまうと、歯ぐきを余分に傷つけてしまう恐れがあります。そして、正しく歯を磨けているか確認するためにも、鏡を見て歯磨きしてください。
2. 歯ブラシの柄は鉛筆を持つように握りましょう
歯ブラシの柄を利き手の親指、人差し指、中指で鉛筆を持つように握りましょう。
この持ち方を「ペングリップ」と呼びます。適切な力で磨くことができ、歯ぐきが傷つきにくい持ち方です。
3. 歯を磨く順番を決めましょう
歯を磨く順番を決めて、磨き残しを防ぎましょう。
気が向いた場所だけを磨いていては、どこが磨けていて、どこが磨けていないのかわからなくなります。磨き残しを防ぐためにも、順番を決めることが大切です。
表側の左奥歯から前歯へ、前歯から歯列に沿って右奥歯へ。同じように裏側を磨き、仕上げに噛み合わせ部分を磨きましょう。
歯磨きのポイント
歯の部位によって、汚れ方は違うもの。それぞれの部位に合った磨き方で、口内環境を整えましょう。
歯の裏側
歯の裏側を磨く際には、歯面に沿って上下に歯ブラシの柄を小刻みに動かしましょう。
前歯・犬歯
歯ブラシの柄を縦に持ち替えて、1本1本歯面に沿って上下に歯ブラシの柄を小刻みに動かしましょう。
奥歯
奥歯は歯ブラシが行き届きにくい部位であり、歯垢(プラーク)や食べカスが溜まりやすい場所でもあります。
頬の内側を指で優しく引っ張り、歯ブラシの毛先を上手く利用して念入りに磨きましょう。
噛み合わせ部分
噛み合わせ部分は深く細かな溝で形成されており、歯ブラシの毛先が行き届きにくい部位です。この噛み合わせ部分も、小刻みに歯ブラシの柄を動かしましょう。
さらに健康的な口内環境を保つには
歯ブラシは歯の表面や歯周ポケットの汚れを除去するのに適する反面、歯と歯の間に詰まった食べカスや歯垢(プラーク)は磨き切れません。
歯周病を抑えるために、他の用品を使用するのもオススメです。
フロスを使う
糸状の歯間クリーナーです。指先から腕程の長さにカットし、カットしたフロスの片側の端を中指に軽く2~3回巻き付けます。
フロスがたるまないよう、もう片側のフロスも間隔を2㎝ほど空けて中指に巻き付けましょう。
両方の親指と人差し指で持ち、歯と歯の間にフロスをゆっくりと入れ、側面に沿って食べカスや歯垢(プラーク)を除去します。一度汚れを取った部分は指に巻き付け、1カ所ずつ新しいフロスで行ってください。
歯間ブラシを使う
歯間ブラシにはもっとも小さなサイズであるSSSから、SS、S、M、Lまでのサイズがあるので、ご自身に合ったサイズを使用することが大切です。
無理に大きなサイズを歯と歯の間に押し込んでしまうと、歯ぐきを傷つけてしまう恐れがあります。
歯と歯の間に歯間ブラシを入れ、前後に歯間ブラシを動かして食べカスや歯垢(プラーク)を除去しましょう。
歯間ブラシを使用するときは、必ず流水下で汚れを洗い流しながら行ってください。
ここまで、歯周病になりにくいお口の環境を作るための、正しい歯磨きの方法をご紹介してきました。
生涯に渡って自身の歯で美味しくご飯が食べられるよう、正しい歯磨き方法を身に着け、お口の健康を保ちましょう。
<参考・参照元>
日本臨床歯周病学会 | 歯周病とは?
歯周病 | 生活習慣病の調査・統計 | 一般社団法人 日本生活習慣病予防協会
あなたにぴったり!が見つかる「ハブラシ選び4ステップ」 | クラブサンスター
歯ブラシでのみがき方基本|歯と口の健康研究室|ライオン歯科衛生研究所