お口ケア
2019.03.02

現代特有の口臭とは?原因はダイエットやスマホ!?

近年、口臭や歯の色などお口周りの審美にも気を遣う人が増えてきました。かつては、歯医者さんに通う理由の大半は歯周病虫歯矯正など、口や歯の病気の治療のためでしたが、今では自分の口臭を気にして病院を訪れる人も少なくありません。

口臭の原因はいくつもありますが、現代特有の原因があるのをご存知でしょうか。
今回は現代の日本人が悩む口臭について、解説していきたいと思います。


現代特有の口臭1:糖質制限ダイエットが引き起こす口臭


はじめに、ダイエットが口臭の原因になっている場合です。特に昨今のダイエット法で話題になっている糖質制限もやり方を誤ると、口臭や体臭が悪化し、健康に悪影響を及ぼすことがあるので要注意です。
では、なぜ糖質制限ダイエットが口臭に関係してくるのでしょうか? その原因についてご紹介していきましょう。

原因は身体が飢餓状態に陥る点にあると考えられています。本来であればご飯やパンといった、いわゆる炭水化物をエネルギー源として活動していたにもかかわらず、糖質制限ダイエットをおこなうことで糖質が断たれてしまうと、肝臓が脂肪酸を分解し、「ケトン体」と呼ばれる非常用エネルギーを産みだし、これをエネルギーとして用います。

ダイエットとしては、理論上は上記のように脂肪が分解されるため、いいようにも思えますが、このケトン体はツンとするフルーツが腐敗したような、独特な臭いを発します。ケトン体が血液中に吸収され、肺から呼気となって出てくることで、口臭がきつく感じられるようになるのです。口臭が臭くなるのは初期段階で、やがて体臭にもケトン臭が混じるようになります。ダイエットで自分を追い込みすぎないように注意しましょう。

現代特有の口臭2:スマホ口臭


驚く人もいるかもしれませんが、スマートフォンの過度な使用によっても口臭が悪化する可能性があります。主な原因は唾液の分泌量が減ることだと考えられています。

唾液の働きは実にさまざま。口の中に存在する菌の活動を抑制する働きもあるため、唾液が減ってしまうと菌が繁殖しやすくなり、菌が出すガスによって口臭が発生してしまいます。

しかし、なぜスマホの使用が唾液の分泌量を減らしてしまうのでしょうか? 大きな要因としては、スマホ使用時の姿勢と、スマホ使用によるストレス(緊張)が指摘されています。

スマホを使用する際は、目線が下がり首を下に傾け、うつむいた体勢をとってしまう人も多く見受けられますが、うつむいた体勢は、顎の下にある顎下腺と呼ばれる唾液腺を圧迫してしまい、唾液の分泌が阻害されてしまうのです。

スマホやPCを誰しもが使用している今日。仕事の休憩時間から就寝前のベッドの中まで、スマホを使用しているという人も多いのではないでしょうか。しかし、そうした行為は私たちの脳に絶えず情報を送り込み、思いのほか心身にストレスをかけていることを忘れるべきではありません。

唾液腺を圧迫する体勢をとってしまうことで、唾液の分泌を阻害するだけではなく、このようなストレスでも唾液の分泌量が低下することがわかっています。スマホを使用する時間をできるだけコントロールするほか、唾液の分泌を促すマッサージなどを取り入れることをおすすめします。

現代特有の口臭3:ドライマウスが引き起こす口臭


ドライマウスとは、唾液の分泌量が減り口の中が乾燥してしまう症状のこと。近年罹患者が増えてきていると指摘されている身近な疾患です。口の中には常に300~500種類ほどの細菌が存在し、口の中を洗浄する役割がある唾液の分泌量が減少すると、口臭の原因であるガスを生み出す細菌が増殖することで臭いが強くなる傾向があります。

欧米ではキスやハグが日常的に行われるため、ドライマウスに対する認知度は日本に比べると高くなっていますが、日本でも欧米化が進むにつれて自分たちの口臭を気にするようになり、ドライマウスについての知識も徐々に広まっています。

また、IT機器に囲まれる現代的な生活や高ストレス社会と揶揄される日本の労働事情が日本人に大きなストレスをかけていることも否めません。こうしたストレスが唾液の分泌を抑制し、口が渇いた状態になってしまう可能性もあるのです。

しかし、ドライマウスは特定の疾患が原因で起こっていることもあり、原因は決して上記の限りではありません。口の中があまりに乾燥して話しづらい、痛みを感じるなどの症状がある際には、早めの受診をするようにしましょう。

日本人はキレイ好き!でも口臭は……


現代特有の口臭の一例を解説しました。口臭はどの文化においてもケアしておくのがマナーとして認識されています。とはいえ、キレイ好きとして知られる日本人でも、その対策はまだまだ不十分。海外から日本に訪れた外国人が「日本人の口臭が気になる」と回答するという気になるデータも。

日本人の口臭が指摘される大きな原因として、日本人の口腔ケア不足が挙げられます。口臭が生じる大きな原因は歯周病や虫歯と考えられており、なんと日本人は35歳以上の8割もの人が歯周病に罹患している可能性もあるとの報告があります。保険診療制度がある日本では、自己負担額が少額な場合も多く、かえって疾患を予防するという意識が希薄になってしまうというデメリットもあります。歯周病は口臭だけでなく、身体全体に悪影響を及ぼす疾患のため、正しいブラッシング方法で、毎日の口腔ケアをおこなうことが大切です。

監修者

歯科衛生士
粟飯原ももこ
粟飯原ももこ 氏の近影

あいはら ももこ。歯科衛生士。平成18年3月歯科衛生士資格を取得し、歯科医院にて勤務。歯科医療をテーマにした執筆や訪問歯科衛生士に関する冊子制作などにも携わる。

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