お口と健康
2018.08.27

健康維持には歯が大切!「健康日本21」で国が取り組む歯の健康対策

目次
  1. 厚生労働省が推進する「健康日本21」
  2. 80歳で自分の歯を20本以上が目標
  3. ライフステージに合わせた虫歯・歯周病予防の取り組み
2050年には国民の3人に1人が高齢者となることが予想されている日本。
これからは、どの年代の人でも自分の健康は自分で維持していくという時代となっていきます。

こうした時代に合わせ、厚生労働省が国民運動として掲げているのが「健康日本21」です。
このなかでは、歯や口内の健康も重視されています。

口内環境の悪化や病気は、その結果として歯の喪失につながるため、食生活や社会生活に支障をきたし、ひいては、全身の健康に影響を与える、とされています。また、口内の健康を保つことは、食事や会話を楽しむなど豊かな人生を送るための基礎となるもの、とされているのです。 

国がどんな対策に取り組んでいるのか、また歯はどのように健康に関わっていくのかを次に見ていきましょう。



厚生労働省が推進する「健康日本21」


高齢化の進展により、2050年には、国民の3人に1人が高齢者になると予測される日本。
国全体の医療費と福祉サービス費用は増加の一途をたどっており、今後は一人ひとりが積極的に健康の増進に努め、年齢を重ねても身体の機能を低下させることなく、生活の質を維持できるようにすることが求められます。

そのための取り組みとして、厚生省(現厚生労働省)が2000年に開始したのが「健康日本21」です。国民の生活習慣を改善し、病気の予防を促すことにより、壮年期での死亡を減らし、介護なしで生活できる期間、いわゆる健康寿命を延ばすことを目標として実施されています。現在は第二次の取り組みが進められています。

国が行った統計分析によって、高齢になっても歯の喪失が少なく、十分に咀嚼ができている人は、運動・視聴覚機能がよく維持されており、活動能力が高いことが明らかとなっています。歯の健康を保つことは、食事や会話を楽しむなど、豊かな人生を送るための基礎となるのです。9つの分野からなる「健康日本21」でも、栄養・食生活、たばこ、アルコール、糖尿病、ガンなどとともに、歯の健康について1分野を設け、具体的な数値目標を設定しています。


80歳で自分の歯を20本以上が目標


歯の健康分野では、まず「80歳で自分の歯を20歯以上有する者を20%以上、60歳で24歯以上有する者を50%以上とする」ことが目標として掲げられています。

この目標は、「健康日本21」と併せて行われている「8020(ハチマルニイマル)運動」の「80歳で自分の歯を20歯以上保ち、生涯にわたって健全な咀嚼能力を維持しよう」という内容を踏まえて設定されたもので、高齢者においても歯の喪失が10歯以下であれば食生活に大きな支障を生じないとの研究にもとづいたものです。

この取り組みの成果もあり、すべての年齢層において、保有する平均歯数は年々増加しています。
しかし、50歳以降では平均して2年に1本以上の歯が失われ、80歳代では約半数の人がすべての歯を喪失しているなど、いまだ目標の達成には至っていません。

歯の喪失原因の約9割が、虫歯歯周病です。
13歳で虫歯をもつ人の割合が90%を越え、55~64歳で歯周病にかかっている人の割合が82.5%となるなど、虫歯・歯周病ともに、他の疾患に類を見ないほどの高罹患率となっています。歯周病は40歳以降に歯を失っていく大きな原因となっており、1993年の実態調査によれば、35~44歳の27%が歯周炎に罹患しています。
歯肉炎も含めると、同年齢で81.2%の人に症状が認められており、その後、年齢を重ねるごとに歯周病が悪化し、失われる歯の数も増加していきます。

「健康日本21」では、定期的な歯石除去、歯面清掃および定期的な口腔診査による早期治療が歯の喪失防止に重要であることが示され、これらをリスク低減目標として設定しています。
とくに高齢者では、歯の喪失や歯周病の進行に伴い、口腔内状況が複雑となり、確実な歯口清掃を行うことが困難となってくるので、個人の口腔内状況にあった歯口清掃が実施できるよう、きめ細かな指導・支援を行っていく必要があると述べられています。

ライフステージに合わせた虫歯・歯周病予防の取り組み


さらに「健康日本21」では、幼児期、学齢期、成人期というライフステージに応じて、それぞれに適した虫歯・歯周病予防の目標が設定されました。

成人期については、進行した歯周炎に罹患している者(4mm以上の歯周ポケットを有する者)の割合を3割以上減少させることが目標として掲げられています。
その実現に向けた対策として、歯ブラシだけでは歯垢を完全に落とすことができない歯間部に歯ぐきの炎症が生じるケースが多いため、デンタルフロス歯間ブラシなどの使用が奨励されています。

加えて、歯周病の発生・進行を防止するためには、定期的な検診および歯石除去、歯面清掃が効果的であることが多くの研究によって示されており、かかりつけ歯科医などのもとで、こうした歯周病管理を受けている者を増やす必要があるとされる。 歯周病を初期のうちに自己管理して、手遅れになるのを防ぐのも有効とされ、例えば、週1回以上鏡で自分の歯ぐきの状態を観察するなどの習慣を定着していくことは効果があるとされている。

また、喫煙が歯周病および歯の喪失のリスクファクターとして重要な位置を占めているとの報告があることから、必要に応じて禁煙支援、指導を行っていくとされています。
歯科医師や歯科衛生士による予防処置や、保健所などによる情報管理と普及啓発活動も推進されています。

医療費や介護費の低減は、これからますます重要な課題となることが予想されます。
歯の健康を通じて、多くの人が健康寿命を長く保てる社会を実現することは、国全体にとっての大きな目標なのです。


<参考・参照元>
歯の健康|厚生労働省
OralFirst
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