お口と美
2018.10.31

悪い歯並びを放置するのは危険?


ご自身の歯並びについて意識をしたことはありますか?
今回は気になる歯並びが悪くなる原因、歯並びの悪さが招くリスク、治療法および予防法についてご紹介します。

歯並びが悪くなる原因ってあるの?


歯並びが悪くなるのには、大きく「先天性」「後天性」と2つの原因があります。

10%は生まれついての歯並びに問題


生まれつき、なんらかの原因によって歯並びが悪くなることを「先天性欠損」と呼びます。
本来生えてくる歯の本数が多い、または少なかったり、歯の形がいびつだったり。大きさが平均よりも大きかったり小さかったりする場合など、さまざまな理由で歯並びが悪くなってしまうと考えられているのです。

先天性からくる歯並びの悪さは、遺伝または妊娠中の母親の病気などが考えられていますが、因果関係はハッキリしていません。
つまり、予防することができないというのが現状です。

先天性欠損の割合は約10%といわれており、決して低い数字ではありません。
判明した場合は、そのままにしておくということはせずに、早めの対策をしていくことをオススメします。

指しゃぶりや口呼吸が歯並びの悪くなる原因?


習慣や癖などが原因で、歯並びが悪くなる場合を後天性と呼びます。
代表的な例に、指しゃぶりが挙げられます。乳幼児期の指しゃぶりは人間の生理的な行動であり、2歳児の約2割が指しゃぶりをしていると報告されています。

しかし指しゃぶりが原因により、上下の歯が噛み合わなくなって空間が生まれてしまう開咬の状態や、上の前歯が前方に突き出る上顎前突、上下の奥歯が左右にずれてうまく噛み合わなくなる片側性交叉咬合などの状態となってしまう可能性があるのです。

そのため、4歳以降に指しゃぶりの習慣が残っている場合は注意しましょう。

なお、指しゃぶりの他にも次のような幼少期の習慣や癖で、歯並びが悪くなってしまう恐れがあります。

  • 口呼吸
  • で歯を押すくせ
  • 頬杖をつくくせ
  • 唇を咬むくせ
  • 片側の歯だけで噛んで食べ物を食べる
  • うつぶせ寝・横向きで寝る

歯並びが悪いとどんなリスクがある?



歯並びの悪さによって、見た目だけではなくさまざまなリスクをともないます。

虫歯や歯周病になるリスクが高まる


歯並びが悪いと、デコボコの部分が多く、隅々まで歯ブラシの毛先が行き届かせることが難しくなります。
取り残した汚れが原因で、虫歯歯周病になりやすくなってしまいます。

口臭が強くなる


歯並びが悪いと、歯周ポケットなどに汚れが溜まりやすくなってしまい、口臭の原因になることも。
食事のたびに歯磨きをするなど、日ごろのケアが求められます。

発音に影響を及ぼす


上下の前歯がかみ合っていなかったり、かみ合わせが逆だった場合は、特定の音が発音にしにくくなることも。
また、歯と歯の間が空いているす空隙歯列(すきっ歯)の場合、隙間から空気がもれて上手く発音できなくなります。

消化不良を起こすことも


歯並びが悪いことで噛み合わせもうまく合致せず、食べ物を細かく砕くことが難しくなるため、胃や消化器官に負担がかかって消化不良を起こすことがあります。

顔のゆがみ・全身のバランスが崩れる


歯が前方に突き出したり左右にずれたりすることで、顔もゆがんでしまう恐れがあります。
歯並びが悪いと全身のバランスも悪くなり、肩こりや腰痛、頭痛、めまいなどの症状が現れる場合もあるのです。

悪い歯並びにはどんなパターンがある?


ひとえに歯並びが悪いといっても、いくつかのパターンがあります。どのような種類があるのか紹介します。

受け口(下顎前突)


下の前歯が上の前歯より前に突き出した状態。噛み合わせたときに上下逆になることから、「反対咬合」とよびます。

オープンバイト(開咬)


奥歯の歯が咬み合っていても、上下前歯の歯が噛み合わずに空間ができている状態です。
指しゃぶりが原因とも言われ、言葉を発しづらいなどの弊害があります。

叢生(そうせい)


顎が小さいために歯が正常に生えるスペースがなく、歯が重なり合って生えている状態のことです。
歯並びはデコボコとした印象となります。八重歯もこの叢生の一種です。

すきっ歯(空隙歯列)


歯と歯の間に隙間ができている状態です。
幼少期のすきっ歯は、乳歯が永久歯の生えるスペースを考慮し間隔を空けて生えることもあり、永久歯が生えそろう頃には歯と歯の間の隙間がなくなる場合もあります。
中心の前歯同士の歯と歯の間が空くケースが多く、これを「正中離開」と呼びます。

出っ歯(上顎前突)


上の前歯が前に突き出した状態。歯が邪魔して口を完全に閉めることができない場合や、閉じられたとしても不自然に口元が盛り上がった状態になります。
先天的な原因として上顎骨が下顎骨よりも大きいといった遺伝的な要因が関係していることが考えられます。
また、舌で上の歯を押す癖がある場合などに、この上顎前突(出っ歯)となってしまうケースもあります。

深い噛み合わせ(過蓋咬合)


上の前歯が必要以上に深く覆い被さった状態で、下の歯ぐきに上の歯が当たってしまう場合もあります。
笑ったときに歯ぐきが見えてしまう、ガミースマイルとなる場合も少なくありません。

顎の左右のずれ(片側性交叉咬合)


歯の噛み合わせが左右にずれている状態です。生えてくる歯の位置や顎自体のずれが原因で起こる場合があるでしょう。
乳幼児期に指しゃぶりや、横向きで寝ていることが要因ともされています。

代表的な歯列矯正の治療方法



歯並びを治すためには、矯正治療が必要です。治療法にはさまざまな種類があり、方法によって治療期間や治療料金などが異なります。
代表的な矯正治療の方法を3つご紹介します。

ワイヤー矯正


もっともポピュラーな矯正治療法です。歯の表面にブラケットと呼ばれる装置を装着し、ワイヤーを通して歯を移動させます。
従来、ブラケットには金属を使用していました。しかし近年では透明、または目立たない色のブラケットが主流となっています。

マウスピース矯正


専用のマウスピースを作成し、少しずつ歯を移動させる方法です。
取り外し可能で透明なので、食事にもそこまでの制限はつきません。また、清潔で無理なく続けることができます。

セラミック矯正


ワイヤーを使用せず、自身の歯の上からセラミック製の補綴物を被せる方法です。
部分的に矯正が可能であり、矯正治療の中でも短時間で綺麗な歯並びを手に入れられます。

歯並びが悪くならないように予防しよう


歯並びが悪くなる原因には指しゃぶりや頬杖をつく癖、うつ伏せ、横向きに寝る癖・習慣などが挙げられます。
これらを改善することはもちろん、日々の食事でしっかりと噛み、正しい姿勢で食べることも重要です。

歯並びが悪くならないよう予防を心がけてリスクを回避し、お口の中の健康を保てるようにしましょう。


<参考・参照元>
おしゃぶりについての考え方|日本小児歯科学会
歯並び・噛み合わせが悪いとどうなるの JIO 一般社団法人 日本矯正歯科協会
歯並び - 歯列不正の種類と原因、その治療方法 ストローマンパートナーズ
小児における咬合管理

監修者

歯科衛生士
粟飯原ももこ
粟飯原ももこ 氏の近影

あいはら ももこ。歯科衛生士。平成18年3月歯科衛生士資格を取得し、歯科医院にて勤務。歯科医療をテーマにした執筆や訪問歯科衛生士に関する冊子制作などにも携わる。

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