お口ケア
2019.04.16

加齢によって口臭は「キツくなる」傾向に…対処法は?

男女ともに、年齢を重ねるごとに口臭が発生しやすくなるということをご存知でしょうか。
その原因はさまざまですが、加齢によって歯周病をはじめとする口の中の疾患が起こりやすくなることや、唾液の量が少なくなっていくことで口臭を感じやすくなる傾向にあると考えられています。

特に、歯周病は強い口臭のもとになるだけでなく、進行すると全身に影響が出る可能性もあるため、早めのケアが大切です。

「自分は毎日ブラッシングをしているから大丈夫」、そう考えている人こそ要注意です。今回は自分自身では気がつきにくい「加齢による口臭」をテーマに解説していきます。


実は多い「自分やパートナーの口臭に悩んでいる人」


世代に関わらず口臭に悩む人は多いものです。そして、家族など身の周りの人の口臭が気になっているケースもよくあります。

日本歯科医師会が10代から70代を対象に行ったアンケートによると、半数以上が「パートナーの口臭が気になる」と回答しています。

配偶者に関しては、女性配偶者の口臭を気にしたことがある男性の割合は6割ほどであるのに対し、男性配偶者の口臭を気にした経験のある女性は8割を超えています。

また、男性は年齢を重ねるごとに自分の口臭に対して無頓着になる傾向にあることもアンケート結果から見受けられます。反対に女性は加齢とともに自分の口臭を気にするようになることが示唆されています。

男性に限らず、エチケットとして気をつけるべきことは、自分では「口臭が気にならない」と思っていても、周りは不快だと思っている可能性があるということです。

病気が原因となって口臭がおこる可能性も……


口臭は大きく「生理的口臭」と「飲食物などによる一時的な口臭」、「病的口臭」、「心因的口臭」(ストレスなども含む)に分けられます。生理的口臭や心因的口臭は誰にでもあるため、ある程度は仕方ありません。しかし、歯周病などを筆頭に疾患が引き起こす口臭の場合は、原因である病気の治療が求められます。

先ほどのアンケートでは、「歯周病などの口の中の疾患が原因となって口臭が悪化することがある」ということを知っていると答えた人は7割近くだっものの、実際に「口臭が気になった時、歯科医院に行く」という人は1割未満ということが浮き彫りになっています。

実際に、口臭の原因は8割ほどが口の中の疾患に由来していると考えられています。その中でも特に注意したいのが歯周病です。歯周病は自覚症状がない人が多く、歯肉にひどい炎症が起こり痛みや出血があり、初めて症状に気がつくケースもあります。歯周病の原因となる菌は臭気ガスを生み出すため、口臭も悪化します。

調査によると、30代以上の日本人の8割ほどが歯周病を抱えているといわれています。適切なブラッシングなど、歯周病ケアをしない限り歯周病リスクは高まってしまいます。

歯周病菌が体内に入り込むこと、全身にもさまざまな影響を与えることが報告されています。動脈硬化や、心筋梗塞などの心疾患に関係があるとされ、その中でも心臓発作を起こすリスクが2倍以上も高まるといわれています。また、糖尿病に罹患している人が歯周病になってしまうと、血糖症状が重くなったり、早産・低体重児出産リスクが増加したりするなど、命に関わるケースもあるため、歯周病予防・治療は早いうちに始めるべきでしょう。

また、特に見逃してはならないのは、ガンなどの口腔ガンが原因で口臭が起こっている場合です。こればかりは歯科医院や専門機関で診療・検査をおこなわなければ判断できないため、気になる方は検査をおすすめします。

口臭の原因となる歯周病は予防が大切



加齢による口臭を防ぐために、まずおこないたいのが歯周病や虫歯の予防です。歯垢プラーク)や歯石がたまると歯周病や虫歯になる確率が高まるといわれています。

また、舌のケアが不十分であったり、健康状態が悪かったりすると、舌苔(ぜったい)といって舌の上に白色や黄色の汚れが付着することがあります。これも口臭の原因になるため、歯だけでなく舌の様子も観察するようにしましょう。

加齢によるその他の口臭リスク


加齢によって唾液の分泌量が減ると、口の中に細菌が溜まりやすくなってしまうため、口臭が強くなってしまうリスクもあります。また、心理的なストレスで唾液分泌量が減ると口臭が強まることもわかっています。

管理職などに就くことの多い年配の方は特に規則正しい生活とストレスマネジメントも重要になってくるでしょう。唾液が減ってしまうドライマウスを防ぐために、口呼吸をするくせがある人は早めに改善しましょう。

そのほか、入れ歯の清掃不良や、被せ物(補綴物)の金属などの人工物が腐食することで、悪臭が発生することもあります。定期的なケアを歯科医院で行うようにしましょう。


今回説明したように加齢が一因となり、口の中の環境が悪化することで口臭が強くなってしまうこともあります。まずは口臭チェッカーなどで確認するなどして、自分の口臭を客観的に把握するようにしましょう。

歯周病ケアは年齢に関わらず、常に意識しておこなうことが重要です。全身疾患に発展する恐れもあるため、口腔ケアや口臭ケアはもちろんのこと、自身の健康のために正しいケアをおこなうようにしましょう。

監修者

歯科衛生士
粟飯原ももこ
粟飯原ももこ 氏の近影

あいはら ももこ。歯科衛生士。平成18年3月歯科衛生士資格を取得し、歯科医院にて勤務。歯科医療をテーマにした執筆や訪問歯科衛生士に関する冊子制作などにも携わる。

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