お口ケア
2019.01.12

歯垢はなぜ必ず取らなければいけないの?


歯の表面にネバネバ、ザラザラを感じたことはありませんか。
そのネバネバやザラザラの正体は歯垢プラーク)というもので、虫歯歯周病の原因でもあります。

自分でできる歯垢を取る方法、歯科医院での除去の方法を歯垢ができる原因ととも紹介します。

歯垢ってどうしてできるの?


そもそも歯垢は、どのように口内に発生するのでしょうか。

食後の歯磨きなどを怠ってしまうと、歯の表面がだんだんとネバネバ、ザラザラするようになります。そこを爪や楊枝などでかき取ってみると、白くて臭い塊が取れますよね。この塊こそ歯垢です。

歯垢の正体は細菌のかたまり!


歯垢について、「食べカスの塊が白く変化したもの」と誤解している方が多いかもしれません。しかし歯垢の正体は、食べカスではなく細菌のかたまり。
口の中に潜む口腔内細菌はおよそ500種類以上といわれますが、歯垢1mg中には、その細菌が数億〜10億個もいるといわれています。

歯垢はどのように形成される?


細菌のかたまりである歯垢は口内でどのように形成されるのでしょうか。

歯の表面には、唾液の成分であるたんぱく質などによって、薄い膜である「ペリクル」が形成されます。ペリクルの厚さは0.001~0.01mmで、歯の表面の組織であるエナメル質を酸などから保護する働きがあります。
しかしペリクルは、エナメル質を守ってくれるだけではありません。

ペリクルの表面は粘着性があり、口の中に潜在する口腔内細菌を付着・定着させてしまいます。その結果、歯垢が形成されてしまいます。

食後4~8時間でペリクルに細菌が付着し始め、白いかたまりとなって歯垢となります。一度、歯面に歯垢が形成されると細菌が付着と定着を繰り返し、さらに増殖して歯垢が歯面に付着していくことに……。

ペリクルは歯を守りながらも、歯垢を形成してしまうという悪影響も及ぼします。

歯垢を除去しなければならない理由



歯垢を歯の表面に付着したまま放置していると、さまざまな口内トラブルを引き起こしてしまう可能性があります。

歯石になってしまう!


歯垢をそのまま歯の表面に放置してしまうと、歯石へと変化します。
歯垢が歯石となる時間はおよそ2日といわれており、その期間、歯に歯垢を留めてしまうことで生まれます。

歯石は、歯垢が唾液成分に反応し石灰化したもので、歯肉や歯に直接影響を及ぼす心配はなくなります。しかし歯石の表面はザラザラ、でこぼこしているため、歯石の表面にさらなる歯垢を形成する原因となってしまいます。

歯石の上に歯垢を形成させないためには、歯石をスケーリングで除去する必要があるのです。

虫歯の原因にも!


虫歯とは「ミュータンス菌」と呼ばれる口腔内細菌が感染し、健康な歯を蝕んでいくものです。
歯の表面を覆うペリクルには、虫歯菌となるミュータンス菌も付着し、歯垢を形成します。
ミュータンス菌は、歯垢の中で食べ物に含まれる糖分をエネルギー(分解)に変えて酸を作り出します。この酸によって歯は溶かされていき、虫歯となってしまうのです。

歯周病の原因になる!


歯周病を引き起こす細菌は800種類以上ともいわれています。
しかし、その中でもっとも影響力があるとされている歯周病菌は、「ポルフィロモナス・ジンジバリス」(Pg菌)です。どのように感染するかは判明していませんが、もともと口内に存在する滞在菌ではないかと考えられています。

ポルフィロモナス・ジンジバリス(Pg菌)は歯垢を住処として歯肉を炎症させ、歯肉の血液などをエネルギーに変えて増殖します。
歯と歯肉の間の溝である歯周ポケットなどに侵入し、歯を支える歯周組織と呼ばれる歯肉やセメント質、歯根膜、歯槽骨を破壊し続けると、最後には歯を支え切れなくなって歯が抜け落ちてしまうこともあります。

歯垢の除去する方法は?


さまざまな口内トラブルを引き起こしかねない歯垢は、どのように除去・予防すればよいのでしょうか。ここでは、自らできる方法と歯科医院それぞれの方法をご紹介します。

自分で行う歯垢除去


歯垢は毎日の歯磨きで除去していきましょう。自分にあった正しい歯磨きをすることが重要です。

歯科医院で正しい歯磨きの方法を指導してもらい、的確に歯垢を除去してください。
歯ブラシの毛先が届かない歯と歯の間には、歯間ブラシデンタルフロスを使用することで、除去することができます。

歯垢を除去するために、強い力を入れて歯磨きしてしまう人が少なくありません。しかし、歯磨きに強い力は不要です。
強い力を入れて歯磨きをすると、歯や歯肉を傷つけてしまいます。優しい力で小刻みに歯ブラシを動かすことを意識しましょう。

歯科医院で行う方法


歯科医院で行う歯垢除去の方法は「PMTC」とよばれているものです。専用の器具と研磨剤を使用して、普段の歯磨きでは除去できないペリクルとともに歯垢を除去していきます。

歯の表面に沈着した汚れを除去するだけでなく、虫歯・歯周病予防にも繋がります。

歯科医療のプロが専用の器具を使用し、歯磨きだけでは除去できない汚れを取り除いていきます。定期的に行うことで、虫歯・歯周病予防に繋がります。


歯垢について、詳しく解説してきました。基本となるのは、やはり歯磨きなどのご自身でのセルフケアです。
正しい知識を身につけて適切なケアを行い、日々プラークコントロールに努めましょう。

監修者

歯科衛生士
粟飯原ももこ
粟飯原ももこ 氏の近影

あいはら ももこ。歯科衛生士。平成18年3月歯科衛生士資格を取得し、歯科医院にて勤務。歯科医療をテーマにした執筆や訪問歯科衛生士に関する冊子制作などにも携わる。

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