お口ケア
2019.06.19

家で行える虫歯の予防方法は?そのコツをご紹介

家で行える虫歯予防と聞いて、パッと浮かぶものといえば歯磨きではないでしょうか。
でもただ歯磨きをするだけより、効果的な予防方法もあります。

今回は虫歯の予防方法について詳しくご紹介していきます。


プロフェッショナルケアとセルフケア


虫歯や歯周病予防だけでなく、健康を守る手段として挙げられるものの一つが「プロフェッショナルケア」です。そして次にセルフケア、3つ目として市町村など公共団体が主体で行うパブリックヘルスケアがあげられます。
この3つの中で特に身近なものが、プロフェッショナルケアやセルフケアです。まずはプロフェッショナルケアとセルフケアについて、その違いを確認しておきましょう。

  • プロフェッショナルケア

プロフェッショナルケアとは、歯科医師や歯科衛生士といった専門家による専門的予防処置です。歯面清掃や歯科予防処置としての薬物の塗布(フッ素など)、そして、患者さん各自の口腔内の状況や全身状態に合った口腔内のセルフケアのアドバイスを行います。

歯周組織(歯肉歯根膜、セメント質、歯槽骨といった歯を支える周囲の組織の総称)に病的変化をもたらす原因の歯垢、そして日常のブラッシングでは除去できない歯石を専用の器具を用いて除去。また、フッ素等の薬物を塗布することで、口腔内の二大疾患でもある歯周病及び虫歯の予防をしていきます。

予防の概念は、健康を意識し、疾病を予防しようとする考え方です。
虫歯予防の目的として健康増進というものがあり、これは口腔内の衛生面や全身の状態を見て、食事の栄養面から指導するものに当たります。そのなかで、患者さんごとに口腔内の環境や虫歯が起きる一番の原因などを特定し、フッ素塗布や歯の溝を埋める処置や間食指導、歯磨きの方法などの指導をおこなっていくのです。
日常のブラッシングだけでは届かない部分を掃除するほか、セルフケアに繋がる指導もプロフェッショナルケアの一つとなります。

  • セルフケア

日常生活のなかで健康を守るのは自分自身となります。セルフケアとは、自分自身で行う予防方法のことを指します。
セルフケアの具体的な内容はフッ素入り歯磨剤(歯磨き粉)の使用やフッ化物を用いた洗口(歯科医院で処方)、ブラッシング、歯と歯の間の清掃、食生活の改善、禁煙、生活習慣病の対策、そして定期的な検診の受診などがセルフケアです。特に虫歯への予防効果が良好とされているものは、フッ素入り歯磨剤の使用やフッ化物を用いた洗口となります。
セルフケアは歯科医院を受診した際に行われる保健指導に従い、継続して行うことが効果的です。

セルフケアの重要性


では、なぜセルフケアが大切なのでしょうか。

虫歯の原因の多くは歯垢によるものです。私たちは毎日飲食しますので、そのたびに食べ物のカスや糖は歯に付着してしまいます。
食生活と虫歯は密接に関連していると考えられていますが、毎日の習慣に歯科医師や歯科衛生士が関与できるのは歯科医院に患者さんが来院したときだけ。そのため、毎回同じ内容を指導されて「知っているのに」と感じてしまったり、ブラッシング方法の説明ばかりで嫌だと感じたりする方は多いかもしれません。

しかし、磨き癖や生活習慣はすぐに改善されるものではないため、検診のたびに同じ内容を継続して指導する場合があります。
歯科医院を受診した際に受けた保健指導を、セルフケアとして生活の中に取り入れ行うことは効果的でしょう。しかしそれを継続的に行わない限り、予防効果は期待できないとされています。
ぜひ指導を受けた日から、ブラッシング方法や生活習慣の改善に取り組んでみてください。

プロフェッショナルケアとセルフケアがしっかり結びつくことで、歯質の強化や菌数の減少、さらには局所の炎症抑制や低減にも繋がります。これにより、虫歯や歯周病予防、そして口腔からの細菌感染予防(糖尿病や心疾患、呼吸器感染などの予防)が期待できるのです。
口腔内の清掃をしっかりと行うだけで、口腔内だけでなく全身への健康に繋がります。このことからもわかる通り、毎日のセルフケアはとても大切なものなのです。

家で行う虫歯予防



それでは、今日から家で実践できる虫歯予防をご紹介します。まずは、ブラッシング時に使う歯磨剤をフッ素入りの歯磨剤にしてみましょう。薬局などに売っているものでも構いません。
種類はさまざまですので、商品の成分欄に注目してフッ素(もしくはフッ化物)と記載があるものを選んでください。

フッ素には歯質の強化のほか、虫歯の原因でもあるプラークという菌から産生される酸で歯が溶けることを防ぐ耐酸性の向上、そして酸自体の産生を低下させる効果があります。さらにフッ素入りの歯磨剤を使うことで、25~40%の虫歯予防効果があると報告されているのです。ぜひ、セルフケアに取り入れてみましょう。

そして、このフッ素入り歯磨剤をより効果的にする磨き方が「ダブルブラッシング」です。口腔内にフッ素を保持させるため、1回目のブラッシングをより丁寧に行い、プラークを徹底的に除去します。そして2回目のブラッシング時に、フッ素入りの歯磨剤をつけて磨いてください。
もちろん個人で口腔内の環境は違いますので、かかりつけの歯科医院で自分に合った磨き方を聞いてみるのもよいでしょう。

また、ブラッシング以外にも自宅で行える虫歯予防があります。その1つが、虫歯の主な原因となる糖のコントロールです。
特に歯面に付着しやすいチョコレートやキャラメルなどは、虫歯を誘発しやすいといわれています。食間に糖含有の食品(特に一時期でも支援に高スクロース濃度が停滞するもの)を摂取すると、虫歯の発生は増加してしまうのです。

普段の生活の中で糖のコントロールができるようになれば、それだけ虫歯の発生を減少させることができます。しかし中には、チョコレートなどは大好きでやめられないという方もいるでしょう。そうした場合、チョコレートなどの食品を摂取する際には、非糖質性甘味料が含まれているものを選ぶことをオススメします。
たとえば、ソルビトールやキシリトールなどが有名です。これらはプラークに直接滴下してpHの低下を検討する実験においても、酸の産生がありませんでした (歯垢の成熟と酸産生Neff D,Caries Res,1,1967.)。
このことからわかるように、好きなものを食べながらも虫歯予防はできるのです。

このほかに、食後すぐにブラッシングができない場合は、洗口剤を使った洗口もよいでしょう。食後はお口の中のpHが酸性に傾くため、エナメル質が溶けやすい状況になります。歯面にあるプラーク除去まではできませんが、洗口するだけでもお口の中のpHを一時的に中和することが可能です。

こうした糖のコントロールや洗口など、まずは生活の中で行えることから始めてみてください。


プロフェッショナルケアで普段歯ブラシが届かない細かい箇所にもアプローチし、さらに家で行える虫歯予防をセルフケアとして取り入れることで健康を守れます。
自分の健康を守れるのは、毎日向き合っている自分自身です。歯科医院に行けば治るといった考えではなく、行かなくても自分で虫歯を予防できるといった健康増進への前向きな気持ちを持ち、セルフケアに取り組んでください。
歯磨剤を選ぶ際には虫歯予防に効果的な成分であるフッ素入りのものを選び、普段のブラッシングに取り入れてみましょう。

監修者

歯科衛生士
田仲真菜美
田仲真菜美 氏の近影

たなか まなみ。歯科衛生士。平成27年4月歯科衛生士資格を取得し、歯科医院にて勤務。歯科領域のコラム執筆などにも従事。

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