歯みがき
2019.01.24

強い力で歯を磨くのは危険……歯や歯肉にダメージが!


虫歯歯周病予防するためには、毎日の歯磨きは欠かせません。正しいブラッシング方法でしっかり汚れを落とすことで、歯垢歯石の沈着の防止が期待できます。それだけに、真面目に歯磨きに取り組む人は強い力でゴシゴシと歯を磨きがち。しかし、それは正しいブラッシング方法とはいえません。

歯の磨き過ぎによって生じることがある症状や対処法について、詳しくみていきましょう。

強い力で歯の磨いていると現れる症状


歯や歯肉に傷ができる


私たちの歯は、エナメル質と呼ばれる、人体の中で最も硬い組織で覆われています。
虫歯治療で歯を削る際も、一般的な金属ではうまく削れないため、ダイヤモンド粒子が付属された器具が使用されています。

ダイヤモンド粒子で削らなければならない程に硬い組織なのにたかがブラッシングで影響があるの?と考える人もいるかもしれません。
しかし、実際にはさまざまな症状が歯や歯肉に現れてしまいます。

エナメル質で覆われた歯も、研磨材が含まれる歯磨き粉を使用してゴシゴシと磨いてしまうと、表面に傷ができてしまうことがあります。場合によっては歯の表面が摩耗して歯ぐきが下がってしまい、知覚過敏が発症することも。

磨く部分や磨き方に気をつけることはもちろんですが、力加減にも注意が必要です。

同じように、歯肉もブラッシングによって傷つけてしまうことがあります。

歯肉は一般的には歯ぐきと呼ばれる口腔粘膜の一種であり、非常に軟らかい組織です。なんらかの理由で歯肉が傷ついても、自然に治癒するようにできていますが、過度に歯肉を傷つけてしまうと、自然に治癒できなくなる場合があります。

歯肉に痛みを感じる


歯の磨き過ぎが原因で、歯肉に痛みが生じることがあります。

歯肉はエナメル質と異なり、神経や血管が密に走っている繊細な組織です。歯を磨いている際にあまりに強い力で磨いてしまうと、歯肉にまでその影響が及ぶことがあります。
歯肉に痛みを感じるその他の原因として考えられるのは、細菌感染や膿の貯留です。それらの症状によって、歯肉に痛みが生じる場合もあります。

歯肉から出血する


また、歯の磨き過ぎによって歯肉から出血することも。歯肉からの出血は、歯肉炎や歯周病によって起きた歯肉の炎症に、歯ブラシによる刺激が加わることが原因と考えられます。
歯肉炎が歯周病へと進行している場合、歯肉の腫れや出血の他にも、膿や口臭などの症状として現れていることがあるので、少しでも異変を感じたらすぐに歯科医院を受診することをオススメします。

歯肉が下がる


歯肉は、歯ブラシなどの機械的刺激が加わり続けると、衰退してしまう場合があります。「歯肉が痩せる」「下がる」という言葉は、この症状をあらわしています。
ブラッシング圧が強いと、歯肉が破壊され、衰退してしまいます。歯ブラシの毛先がすぐに広がってしまうという場合は、強い力を入れ過ぎているサインです。歯肉の状態と併せて確認してみてください。

歯肉が下がる他の原因には、主に加齢や歯周病が考えられます。

歯根が出る


歯の磨き過ぎによって、歯根が露出することがあります。
一見、歯が伸びていると認識してしまうかもしれませんが、実際は歯肉が下がってしまった状態で、健康的な口内とはいえません。
歯肉で覆われていた歯根部分には、エナメル質が存在せず、セメント質や象牙質が剥き出しであるため、外からの刺激に大変弱くなっているので注意する必要があります。

歯の磨き過ぎによる症状の対処法



歯の傷への対処法


歯の表面に傷ができてしまった場合は、基本的に経過観察が行われます。

これは肉眼では確認できない程度の傷であれば、大きなトラブルのもとにはなりにくいためです。しかし、プラーク着色性物質がたまりやすくなっているため、丁寧なケアが必要となります。
セルフケアを徹底するのはもちろん、定期的に歯科医院でのケアを受けることで、虫歯にかかるリスクを低減させることができます。定期健診を受ける習慣をつけましょう

また、目に見えるほどの大きな傷であれば、歯科医院で修復処置を受ける必要があります。

歯肉の傷への対処法


歯の磨き過ぎによって生じた歯肉の傷は、基本的に自然治癒します。口内の衛生状態を保つことはもちろん、疲れやストレスをため込まず、十分な食事と睡眠を取ることで、免疫力が正常に働きます。
ただし、歯を磨き過ぎるという習慣が続く場合、歯肉の傷も治りにくくなるため早急な見直しが必要です。

歯肉の痛みへの対処法


歯肉に痛みを感じている場合は、歯科医院の受診をオススメします。
歯肉に痛みを感じるほど強いブラッシング圧で歯磨きをすることは、今後も大きなトラブルを生む原因となります。また、歯肉の痛みが歯の磨き過ぎ以外に起因していることもありますので、一度専門家に診断してもらうことをオススメします。

歯肉からの出血への対処法


ブラッシングによる歯肉からの出血が何日も継続、または頻繁に起こる場合は、歯肉炎や歯周病が疑われるため、まずは歯科医院を受診しましょう。
歯肉炎、歯周病と診断された場合、歯周病治療を受けることで歯肉からの出血も改善していきます。歯肉からの出血が単なる磨き過ぎによるものであれば、ブラッシング法を変えなければなりません。

歯科医や歯科衛生士に正しいブラッシング法を学ぶ必要があるため、相談してみるのが改善の近道といえます。

下がった歯ぐきへの対処法


歯の磨き過ぎによって下がった歯肉は、大きく改善することはありません。
歯の磨き過ぎという根本的な原因を取り除くことはもちろん、下がった歯肉を元に戻すかは、患者さんそれぞれの治療選択によります。
歯科医院では、下がった歯肉を外科的な処置での改善も行っています。気になる人は一度、歯科医院を受診してみるとよいでしょう。

歯根露出への対処法


歯根露出は、歯肉が下がることで生じる症状なので、対処法も同じです。
歯を磨き過ぎる習慣を改善し、歯や歯肉に与えるダメージを減らしましょう。露出した歯根面は、外科的な処置で改善できることがあります。


歯の磨き過ぎ、強い力で磨くことによって、歯や歯肉にいろいろな症状が現れてしまいます。
どれも新たな病気を引き起こすリスク因子となるため、できるだけ早く対処する必要があります。
歯を磨き過ぎることによって生じるトラブルを回避するためにも、一度自身の磨き方を振り返り、適切なブラッシング方法、オーラルケアを歯医者さんで学んでみましょう。

監修者

歯科衛生士
粟飯原ももこ
粟飯原ももこ 氏の近影

あいはら ももこ。歯科衛生士。平成18年3月歯科衛生士資格を取得し、歯科医院にて勤務。歯科医療をテーマにした執筆や訪問歯科衛生士に関する冊子制作などにも携わる。

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