生えかけの親知らずが痛む!? 痛みを和らげる方法をご紹介
虫歯ではないのに奥歯周辺に痛みを感じたり、口が開けづらかったりする症状がある場合は、親知らずが原因かもしれません。特に生えかけの親知らずは一度でも痛み出すと、痛みが引くまでストレスとなり、生活に支障が生じるため見過ごすことができなくなってしまいます。
今回は生えかけの親知らずがなぜ痛み出すのか、その原因について、痛みをやわらげる方法などを踏まえてご紹介します。
なぜ生えかけの親知らずが痛むのか?
人間の歯は上顎・下顎合わせて32本です。そのうちの4本が親知らずにあたり、親知らずは最前方の前歯である中切歯から数えて8番目の歯です。上顎と下顎の左右に1本ずつ、計4本の親知らずが存在します。
しかし、必ず親知らずは必ず4本現れるわけではなく、個人差が生じます。
親知らず以外の永久歯は平均15歳前後で生えそろうといわれていますが、親知らずは15歳以降から20歳前半に生える傾向があります。生えかけの親知らずの痛みは、この時期に生じる場合が多いでしょう。
お伝えしているように、親知らずは必ず4本現れるわけではありません。もともと親知らず自体が形成されなかったり(先天性欠損)、親知らずが生えるスペースがなく歯肉に埋もれ生えてこなかったり(埋状)、歯の一部が萌出していたり、あるいは斜めに生えていたり、生える方向が違っていたり(水平埋伏)と、個々に状況が異なります。
これら親知らずが正常に生えることができない理由は、人類の進化が原因と考えられています。
では、なぜ親知らずは痛むのでしょうか。親知らずが痛む原因を探っていきましょう。
- 生えかけの親知らずが原因
特に生えかけの親知らずは、歯肉の中で形成されていた親知らずが時を経て歯肉を突き進んで生えてくるために痛みが生じる場合があります。しかし、親知らずが正常に生え終えれば、痛みも徐々に治まるでしょう。親知らずが歯肉を突き進むために歯肉が刺激され、周辺歯肉が細菌感染を起こして、歯肉が腫れ痛みを生じる場合もあります。
また、親知らずが正常ではなく斜めに生えてしまうと、隣の歯に圧力がかかって痛みを感じたり、歯槽骨などにひっかかって生えることができず痛みや違和感があらわれたりすることがあります。
- 斜めに生えた親知らずが原因
斜めに生えた親知らずと隣接する第2大臼歯との間で、歯肉と歯の間に食べカスなどが溜まり、歯肉が圧迫されることで痛みを感じる場合があります。また、食べカスが溜まると細菌が繁殖しやすく、智歯周囲炎(親知らず周辺の炎症)などになりかねません。
- 親知らずの虫歯が原因
生えたての歯は虫歯になりやすく、親知らずも例外ではありません。親知らずは一番奥に生えるため、歯ブラシの毛先が行き届きにくいでしょう。特に生えかけであれば清掃の難易度も高まり、虫歯が原因となって痛みが生じる場合もあります。
親知らずの痛みを和らげる方法
親知らずが原因で痛みが生じていても、すぐに歯科医院を受診することができない状況があるかもしれません。
今現在、親知らずが原因で痛みがある人はもちろんのこと、万が一のために親知らずが痛むときに痛みをやわらげる方法を確認しておきましょう。
- 薬を飲む
ドラックストアなどで販売している、市販薬の痛み止めを飲みましょう。服用する場合は、使用上の注意事項等を確認してから服用してください。
- 冷やす
患部が腫れている場合は、患部を冷やして腫れが引くのを待ちましょう。
- 親知らず周辺の歯磨きケア
親知らず周辺は食べカスなどが停滞しやすく、歯肉が炎症している場合もあります。炎症を治癒させるためにも、歯磨きなどをおこなって口内環境を清潔に保ちましょう。親知らずまで歯ブラシの毛先が届くよう、歯ブラシのヘッドは小さめのものを選んでください。
歯科医院でおこなう、痛む親知らずの治療法
次に、歯科医院でおこなう親知らずの治療法をご紹介します。
- 薬を使う
親知らず周辺歯肉に炎症がある場合には、細菌の増殖を防ぐために抗生物質を処方します。また、痛みが強い場合には痛み止めを処方し、腫れが引くのを待ちます。腫れがある際には、口が思うように開けられない、麻酔が効きにくいなどのリスクが生じるため、抜歯はおこないません。
- 親知らずを削る
親知らずの咬み合わせが悪い場合には、親知らずを削って咬み合わせを調整する場合があります。
- 親知らずの抜歯
健康な歯を抜歯することは望ましくありません、しかし親知らずは、以下の条件に限り抜歯をおこなうことがあります。
<虫歯>
親知らず自体が虫歯になってしまった場合は、治療をおこなわず抜歯することがあります。親知らずは一番奥に生えているため、治療がおこないにくいのです。また、治療したとしても、隣の第2大臼歯に支障をきたすリスクがあることもあり、その際には抜歯を選択します。
<親知らずの生え方・位置>
親知らずの生え方や位置によっては抜歯の対象となります。親知らずが斜めに生えていたり、生える方向が違っていたりすると、隣の第2大臼歯を吸収してしまう場合もあるのです。レントゲン撮影などの結果で吸収が認められる、または近い将来吸収が認められるリスクがある場合、抜歯をおこないます。
<繰り返す腫れや痛み>
腫れや痛みを繰り返す場合にも、抜歯の対象となります。親知らずが周辺組織や隣の第2大臼歯を圧迫すると、腫れや痛みを繰り返すことがあるでしょう。また、親知らず周辺は食べカスが停滞しやすく、その周囲に炎症が起きた場合は抜歯することもあります。
生えかけの親知らずが痛む原因、そして痛みを和らげる方法についてご紹介しました。親知らずと聞くと、「痛み」を連想する人は多いかもしれません。
しかし大切なのは、親知らずが痛む原因を知り、的確に対処することです。親知らずで気になる症状があったり、自身の親知らずの状態が気になったりする場合は、歯科医院へ受診しましょう。