お口と健康
2019.02.08

抜歯による治療が必要なケースってどんなとき?


歯科医師から「歯を抜かなければいけない」と聞かされれば、少なからずショックを受けるはず。
ではいったい、どのようなケースになると歯を抜かなければいけなくなるのでしょうか。

今回は、虫歯やそのほかの原因から歯を抜かなければならなくなるケースについてご紹介していきます。
歯を失わないために、今から取り組めることを学んでいきましょう。

>>歯の神経を抜くのはどんなとき?

虫歯が進行するとなぜ抜歯しなければならないのか?


虫歯がかなり進行してしまうと、歯を残せず抜歯しなければならないこともあります。

虫歯は、最初は歯の表面のエナメル質にできます。痛みを感じないからといって、そのまま放置していると徐々に歯髄(歯の神経)にまで達し、強く痛みを感じるようになってしまいます。なかには、夜も眠れないほどの痛みを感じる方も少なくありません。

しかしこの状態をさらに放置すると神経が死んでしまい、やがて痛みを感じなくなってしまいます。すると、虫歯が治ったと勘違いしてしまう方がいるようですが、実際にはその後も虫歯が進行し続けます。

歯に大きく穴があき、根元の方にまで虫歯が進行すると、その歯を残すことが難しくなり、歯科医師から抜歯を勧められてしまうことがあるのです。

早い段階で虫歯の治療をするなら、その歯を残せる可能性は高くなります。しみたり痛みなどの異常を感じたりする場合は、できるだけ早めに歯科医院を受診してください。

>>虫歯の放置は危険。治せるうちに対処を!
>>歯根嚢胞とは?ひどい虫歯が骨にまで達すると......

虫歯以外の抜歯が必要なケース


歯を抜かなければいけないケースは、虫歯だけではありません。主に、以下のような4つのケースがあります。

抜歯の原因としてもっとも多い「歯周病」


歯を抜かなければならない理由として、虫歯より多いのが歯周病

歯周病は口内の歯周病菌によって、歯を支えている周りの骨が徐々に壊してしまいます。重度の歯周病にまでなると、歯ぐきが腫れて膿が出る、歯がグラグラするため食事中に痛みを感じる等の症状が出ることがあります。そのため、抜歯を余儀なくされることがあるのです。

歯の破折が原因となる抜歯


破折とは、歯が割れたりヒビが入ってしまったりすることをいいます。
歯ぐきよりも上の部分の歯が破折した場合は、歯を残せる可能性が高いでしょう。しかし、歯の根元が割れてしまったりヒビが入ってしまったりすると、抜歯になることがほとんどです。
これは、そのまま放置をしているとヒビが入った部分に沿って細菌が繁殖し、膿が出るなどの症状が生じてしまうことがあるためです。

矯正治療のための抜歯


矯正治療をする際にも、抜歯しなければいけない場合があります。
歯をきれいに並べるためには、十分なスペースが必要となります。そのスペースを確保するために抜歯することがあるのです。

抜歯する必要がある親知らず


すべての親知らずが抜歯を必要とするわけではありません。
しかし、親知らずの生える角度や位置などによっては、汚れが溜まってしまうために炎症や、虫歯の原因となることがあります。そういった場合は、歯科医師から抜歯を勧められることがあるでしょう。

抜歯したあとの治療方法とは?



歯を抜いた後にその部分を放置すると、隣の歯が傾いてきたり、対合歯(噛み合わさっている反対の歯)が伸びてきたりすることがあります。
それを防ぐために、抜歯後には以下のような治療の選択肢があります。

入れ歯を製作する


入れ歯は1本からすべての歯に至るまで、幅広い歯の欠損に対応します。材質なども多岐にわたるため、保険内で作れるものもあれば保険外となるものもあります。

ブリッジによる治療


ブリッジは歯が抜けた前後の歯を削り、橋渡しするように冠をかぶせる治療方法です。しかし、抜歯をした場所や範囲、周囲の歯の状態によっては、ブリッジ治療の適応とならない場合もあります。

インプラントによる治療


インプラントは歯を失った部分の骨に人工の歯根を埋め込み、その後に冠をかぶせていく治療法です。患者さん自身の骨の状態や全身疾患によっては、インプラント治療が行えない場合があります。

これらの治療法には、それぞれメリットとデメリットがあります。また、ご自身が望んでいる治療が、お口の中の状態や持病のため適応とならないこともあるでしょう。
事前に歯科医師と話し合い、どの治療に進むのが最善かよく相談してから決めることが大切です。

歯を失わないために今からできること


もっともよいのは、やはり抜歯する状態にならないように予防していくこと。虫歯などで歯を失わないために、以下のことを意識的に行いましょう。

毎日のていねいな歯磨き


虫歯を予防するうえで欠かせないのが、毎日の歯磨き。毎食後の歯磨きに加え、夜は歯間ブラシデンタルフロスを使用して歯間部まできれいにしましょう。

フッ素の活用


フッ素は歯を強くし、虫歯の予防にも一役買ってくれます。新しくオーラルケア用品をそろえるときには、意識的にフッ素入りの歯磨き剤や洗口剤を購入するようにしましょう。
また、お子さまであれば、定期的に歯科医院で高濃度のフッ素を塗布してもらうのもオススメです。

食習慣の改善


ダラダラと食事をしていると、虫歯ができやすい環境を作り出してしまいます。間食する場合は時間を決めて、ダラダラと食べる習慣をやめましょう。

定期健診を受ける


いくら意識していても、気づかない間に虫歯になっていることがあるかもしれません。定期的に口内を専用の機械でクリーニングしてもらうことは、虫歯だけでなく歯周病の予防にも繋がります。たとえ何も症状がなくても、歯科医院で定期健診及びクリーニングをしてもらいましょう。

抜歯が必要となるケースは、虫歯をはじめさまざまです。まずは日々の対策から、歯を失わないよう予防に取り組んでいきましょう。

監修者

歯科衛生士
棚橋沙紗
棚橋沙紗 氏の近影

たなはし さあしゃ。歯科衛生士。平成22年3月歯科衛生士資格を取得し、歯科医院にて勤務。歯科領域のコラム執筆などにも従事。

OralFirst
この記事が気に入ったら「いいね!」しよう

歯みがき

お口ケア

お口と健康

お口と美

NEWS