お口ケア
2019.04.11

歯科衛生士がオススメするマウスウォッシュ【用途別】

オーラルケアグッズの一つである「マウスウォッシュ」。近年ではすっかり定着してきているため、店頭にはさまざまな商品が並んでいて、どれを選べばいいのかわからない……という方も多いのではないでしょうか。


今回は歯科衛生士の目線から、オススメのマウスウォッシュご紹介。ご自身の用途にピッタリのマウスウォッシュを見つけてくださいね。


マウスウォッシュは予防効果あり


マウスウォッシュは別名「洗口剤」と呼ばれます。洗口とは水を口に含みゆすぐことによって生じる物理的作用で、口腔内の不潔物を取り除くものです。洗口する際にマウスウォッシュ(洗口剤)を使用すると、マウスウォッシュに含まれる各種成分による作用が期待されます。
なお、多くのマウスウォッシュの目的は歯科的な予防であり、口内の浄化や口臭防止、虫歯予防、歯周病予防です。

<マウスウォッシュ目的別薬用成分>


  • 虫歯予防

薬用成分は殺菌剤としてクロルヘキシジン、塩化ベンゼトニウム


上記2つの薬用成分に加えて殺菌剤のトリクロサン


薬用成分は殺菌成分としてクロルヘキシジン、出血抑制剤としてトラネキサム酸

  • 口臭防止

殺菌剤としてトリクロサン、消炎剤としてグリチルレチン酸ステアリル

これらの薬用成分を含んだマウスウォッシュは、医薬部外品(薬用成分を配合し、薬事法で緩和な作用の薬効があると承認を受けたもの)に分類されます。

目的別 マウスウォッシュのオススメ5点


<歯周病予防>


1. Systema薬用デンタルリンス(ノンアルコールタイプ)

Systema薬用デンタルリンス(ノンアルコールタイプ)

バイオフィルム(歯の表面に付着している粘性のある細菌膜)の内部まで浸透・殺菌効果のある、イソプロメチルフェノールという殺菌剤が配合された洗口剤です。
歯周炎予防に効果のあるクロルヘキシジンやトリクロサンよってバイオフィルムに対する殺菌力が高く、ε(イプシロン)アミノカプロン酸(止血剤などに用いられる人工合成されたアミノ酸)が炎症誘発物質の生成を抑制し、炎症の発症を防ぐ効果が期待できます。

洗口した後にそのままブラッシングをすると、細かい部分まで洗口剤が行き届き奥までしっかりとケアできます。洗口剤の中には水で薄めて使用するものもありますが、こちらの商品はそのまま使用可能です。そのため、薄めるのが面倒だと感じる方も使いやすいでしょう。

  • 歯科衛生士としてのオススメポイント
インプラントが埋入されている方でも口腔内の手術(抜歯など)後であっても使えます。そしてこちらの商品には、ノンアルコールタイプのほかに清涼感のあるレギュラータイプもあります。
今回ノンアルコールタイプを取り上げたのは、刺激の強いものが苦手な方や粘膜の荒れやすい方でも使いやすいから。なお、アレルギーなどには個人差がありますので、必ずしも荒れないということではありません。

 <虫歯予防>


2. チェックアップ フッ化ナトリウム洗口液0.1%
 

Amazonに取り扱いがなかったため、画像が取得できておりません。念のため製品情報については、以下URLをご確認ください。 
チェックアップ フッ化ナトリウム洗口液0.1% 

フッ素(フッ化物)が入っているもので、虫歯予防の効果があります。室温でも保存でき、液体を調整することもないため使いやすいタイプの洗口剤です。虫歯のリスクが高いお子様や、歯の根にできる虫歯リスクが高い成人にも使うことができます。

  • 歯科衛生士としてのオススメポイント
洗口液のフッ素濃度は、主な量が225~450ppm(ppmとは100万分の1の意味で微量物質の濃度に用いられる単位)です。
その中でこちらの商品は450ppmと、フッ素濃度が高いうえに使いやすいことが特徴となっています。希釈せずそのまま使えますが、口腔内の状況に合わせて希釈しても使えるタイプのため、個人に合わせて柔軟に使用可能です。


<虫歯予防&歯周病予防>


3. リステリンマウスウォッシュ

リステリンマウスウォッシュ


リステリンは多くの種類の商品を展開しており、清涼感のあるものから少ないタイプなど選択できる点が特徴的です。リステリンに含まれる4つの有効成分として、サルチル酸メチルは鎮痛消炎効果、1.8‐シネオールは強い殺菌作用、メントールは消炎剤、チモールは殺菌剤が含まれており、この4つの有効成分が配合されることでバイオフィルムに対する殺菌能力を発揮します。

  • 歯科衛生士としてのオススメポイント

製品ごとに含まれる成分が違うため、より虫歯予防に効果的なもの、より歯周病予防に効果的なものと自分に合った製品を選ぶことができます。最近はホワイトニング効果のあるものも販売されているため、多様なニーズに合うでしょう。
ノンアルコールタイプもあるため、従来からある刺激が強いものが苦手な方でも気軽に使用できます。

4. ウェルテックコンクールF

ウェルテックコンクールF

グルコン酸クロルヘキシジンという殺菌剤が配合されており、効果が約12時間持続するとされている商品です。さらに、グリチルリチン酸アンモニウムという抗炎症剤も配合されています。
こちらの商品は希釈タイプのものですが、その分だけ使用できる回数が多く、1本で360=700回ほど使用可能です。

  • 歯科衛生士としてのオススメポイント

低刺激での殺菌力が強いため、インプラントが埋入している方や口腔内の外科手術を行った後でも安心して使えます。なお、外科手術の内容によっては期間を空けて使うことを推奨する場合もありますので、かかりつけの歯科医師に相談しましょう。

<口臭予防>


5. バイオティーンマウスウォッシュ洗口液

バイオティーンマウスウォッシュ洗口液

介護の現場でよく用いられるバイオティーン製品の洗口液です。乾きがちな口内を考えて作られた製品のため、とろみがあって低刺激なノンアルコールタイプになります。
とろみが口腔内に潤いを与え、口腔内を浄化できる商品です。

  • 歯科衛生士としてのオススメポイント

唾液の分泌が減ると自浄作用が働くなり、口臭などの原因になってしまいます。そのため、とろみのある洗口剤で洗口することで、口腔内の潤いを保つことができる点が大きなメリットです。特に加齢による唾液分泌の減少などが見られる方にとっては、原液で使用できるためセルフケアで取り入れやすいでしょう。
ご自身でうがいが行えない方も、綿棒やスポンジブラシに浸すことで口腔内ケアとしても使えます。なお、誤嚥リスクがある場合は、医師または歯科医師に相談してから適切にお使いください。


近年、マウスウォッシュの種類も増えてきました。そのため各商品にどんな予防効果があるのか、また、どのようなものが自分の口腔内に合っているのかなどを確認してみるとよいでしょう。

虫歯予防はフッ素だけではありません。殺菌剤によるバイオフィルムへのアプローチで効果を得られるものや、低刺激でも殺菌力があるものなど多様です。ご自身で気になっていることやマウスウォッシュによって得たい予防効果などを踏まえ、最適なマウスウォッシュを選んでください。

口臭の原因は歯周病や虫歯だけではありません。口腔内の乾燥で発症することもあるので、予防のためにもマウスウォッシュの使用はオススメですよ。

監修者

歯科衛生士
田仲真菜美
田仲真菜美 氏の近影

たなか まなみ。歯科衛生士。平成27年4月歯科衛生士資格を取得し、歯科医院にて勤務。歯科領域のコラム執筆などにも従事。

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