虫歯予防に最適!フッ素入り歯磨き粉の選び方と使い方
虫歯予防に効果があることが広く知られるようになってきた「フッ素」。
歯科医院ではフッ素塗布やフッ素によるうがいなど、フッ素を利用したさまざまな方法で治療を受けることができます。
この記事では手軽な方法の一つとして知られている、フッ素入り歯磨き粉の使い方や選び方をご紹介します。
フッ素は虫歯予防になるの?
まず初めに、フッ素はどのようにして虫歯を予防してくれるのかを見ていきましょう。
「フッ素は虫歯予防に良い」というイメージばかりが先行して、どういう仕組みで予防効果が期待できるのか、あまり詳しく知られていないのが現状です。
歯を強くする
私たちの歯は「ハイドロキシアパタイト」と呼ばれる物質によって構成されています。ハイドロキシアパタイトは、カルシウムとリン酸からなる硬い結晶のこと。そこへフッ素が加わると、「フルオロアパタイト」と呼ばれる物質に作り変えられます。
その結果、歯は外からの刺激に対して強くなるのです。ちなみに「フルオロ」というのはフッ素のことを指します。
歯の再石灰化を促す
歯というのは、食事や間食をする度に「脱灰(だっかい)」という現象に見舞われます。脱灰とは歯の表面からミネラル分が溶けだす状態のことで、虫歯によって溶かされる場合も脱灰といいます。
同時に「再石灰化(さいせっかいか)」という現象も起きていて、この2つのバランスがとられることで、歯は正常な状態を保っているのです。
つまり、虫歯菌の活動が活発化したり、間食の頻度が増えたりすると、脱灰している時間の方が長くなってしまうため、虫歯は進行します。
そこで有用なのがフッ素入り歯磨き粉などでのフッ素の摂取。
フッ素には、歯の再石灰化を促す作用があるため、脱灰へ傾いたバランスを元に戻してくれるのです。
細菌の活動を抑制
フッ素入り歯磨き粉を使ったブラッシングやフッ素洗口などを日常的におこなうことで、口腔内の虫歯菌の活動を低下させることができます。
歯を溶かす酸を産生や繁殖を抑える効果があるのです。
フッ素の応用方法
歯を強くするという、フッ素の持つ効果がわかったところで、日常生活への取り入れ方をご紹介していきましょう。
フッ素入り歯磨き粉を使う
フッ素入りの歯磨き粉は、フッ素を直接、歯面に作用させることができます。毎日のブラッシングに取り入れれば、使用後もお口の中に残存したフッ素が虫歯予防に貢献してくれます。
フッ素配合の洗口液を使う
フッ素が配合された洗口液でうがいをする方法です。
4歳以上が利用可能で、1日1回もしくは週に1回の頻度で行います。
洗口液は歯科医院か要指導医薬品取扱店での購入することができます。
うがいをするだけということもあり、一番手軽なフッ素の取り入れ方法といえるでしょう。
歯科医院でのフッ化物歯面塗布
高濃度のフッ素ジェルを歯面に作用させる方法です。
一般的なフッ化物応用法の中で最も効果が高い方法で、年に数回塗布します。
生えたての質の弱い歯に特に効果的で、1歳半頃から受けることができます。
フッ素配合歯磨き粉の選び方
フッ素入り歯磨き粉は、たくさんの種類が販売されています。
たくさんあると、そのような基準で選べばいいのか分からなくなってしまいますよね。
そこで、フッ素入り歯磨き粉の選び方についてご紹介していきます。
一般的なフッ素配合歯磨き粉
日本で市販されているほとんどの歯磨き粉にはフッ素が配合されています。
現在、使っている歯磨き粉のチューブも注意深く見てみると「フッ化ナトリウム」などの表記があると思います。
このタイプのフッ素入り歯磨き粉は、どなたにでもおすすめできる最もポピュラーな商品です。毎日使い続けることで、フッ素による虫歯予防効果が期待できます。
子供用に味が付いた歯磨き粉
一般的なフッ素入り歯磨き粉が苦手なお子さんには、好きな味を選べるフッ素入り歯磨き粉がおすすめです。
ピーチやグレープ、バナナなど、いろいろな味が用意されていますので、お子さんも楽しく歯磨きをすることができます。
高濃度のフッ素が配合された歯磨き粉
歯磨き粉の中には、フッ素の濃度が比較的高めに設定された商品もあります。こちらはより強いフッ素の効果を求める人向けです。
フッ素の濃度が高まれば、虫歯予防効果も高まります。ただし、フッ素濃度が高まった分、取り扱いには注意しなければなりません。
たとえば、高濃度のフッ素を飲み込むと、フッ素の急性中毒を起こす可能性もあります。それが習慣化すると、斑状歯(はんじょうし)のような歯の異常を引き起こすリスクもゼロとはいえません。
日本で市販されている歯磨き粉ではそうした副作用が起こる可能性は低いですが、適切に取り扱うことで、より安全に使用できます。
フッ素配合歯磨き粉の使い方のコツ
フッ素が配合された歯磨き粉を使うときは、できるだけ効果的に使いたいものですよね。
ここでは、フッ素入り歯磨き粉の使い方のコツもご紹介します。
お口のすみずみまでしっかり磨く
フッ素入り歯磨き粉を使う場合、汚れが付いている部分だけを集中的に磨くのではなく、歯列全体をすみずみまでやさしく磨くようにしましょう。
そうすることで、フッ素が作用する部位が広がります。
すすぎ過ぎに注意
歯磨きをした後、一所懸命お口をすすぐ方もいらっしゃいますが、フッ素入り歯磨き粉の場合は、すすぐのを少し控えましょう。
ブラッシングした後は、お口の中にフッ素が残っている状態ですので、引き続きフッ素の作用が期待できます。そのため、軽く1、2回すすぐ程度がベストといえます。
眠る前に使用するのが最も効果的
眠っている間は唾液の分泌が低下するため、口の中は乾燥しやすく、虫歯菌などの繁殖を招くリスクが高まります。
就寝前にフッ素入り歯磨き粉を使用するのが最も効果的ですよ。
フッ素入り歯磨き粉にはいろいろな種類がありますので、それぞれに合ったものを選びましょう。
使い方のコツも参考に、自身の歯をどんどん強くしていってくださいね。
<参考・参照元>
虫歯予防におけるフッ素の効果 前半|総合病院岡山協立病院 歯科
歯の組成 | グリコ 健康科学研究所 | 研究&実験アーカイブ
フッ素(フッ化物)の応用方法|歯と口の健康研究室|ライオン歯科衛生研究所
フッ化物 - 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020