お口と健康
2019.08.16

口が臭い! 原因は歯槽膿漏かも……原因や治療法を解説

歯槽膿漏とは歯周病がかなり進行した重度の状態です。口腔内の健康だけでなく、最悪の場合は命に関わる場合もあるため一刻も早い治療が必要となります。

歯槽膿漏の症状のひとつに「強い口臭」があります。無意識のうちに周りを不快な気持ちにさせているかもしれません。


今回は歯槽膿漏が引き起こす口臭の原因をご紹介します。「最近、口の臭いが強くなった気がする」、「口の臭いを周りに指摘された」という方は、歯科医院で早めに治療を受けましょう。

現代人の多くが抱える歯槽膿漏リスク


歯槽膿漏は決して他人ごとではありません。実は、多くの日本人が無自覚のうちに軽度の歯周病をもっているともいわれています。

「今まで虫歯などになったことはないから自分は大丈夫」と油断せず、自覚症状がないかチェックしてみましょう。気になる場合は歯科医院で定期検診を受けるなど、早めに症状を相談してみることをオススメします。

  • 最近、自分の口臭が気になる
  • 歯ぐきにかゆみや痛みなどの違和感がある
  • 歯ぐきが赤くなっていて腫れぼったい
  • 歯が長くなり、隙間が空いてきた気がする

歯周病は加齢をはじめ、ストレスやほかの病気が原因で起こることもあります。上記に当てはまる人は、自分は気がつかないだけで強い口臭を放っているかもしれません。

気になる人は、早めに歯科医院を受診するのはもちろん、日頃の口腔内ケアの見直しをすることをオススメします。

口臭の原因は歯槽膿漏が引き起こす


口腔内の清掃不良などにより細菌が増殖し、歯肉が炎症を起こします。病状が進行してしまい、歯を支える歯周組織である歯ぐきや歯槽骨、歯根膜、セメント質に炎症が認められた場合「歯周炎」とよびます。

歯ぐきや歯周組織の炎症がさらに進み、歯ぐきから膿が出ている状態を「歯槽膿漏」といいます。発症した場合、口臭の原因はこの膿や出血にあると考えられます。

歯槽膿漏にいたるまで症状が悪化すると自身でのブラッシングなどで口臭を防ぐことはもちろんのこと、症状の改善は難しくなるため、歯科医院での根本的な治療が必要となります。

今さら聞けない歯槽膿漏の原因とは?


歯槽膿漏は歯周病を引き起こす細菌が感染して起こる病気です。「よくテレビCMなどで聞く言葉だけど具体的にどういう病気なのかは知らない」という方も多いのではないでしょうか? 歯槽膿漏になる原因や命に関わる恐い病気である理由についても知っておきましょう。

歯槽膿漏を引き起こすのは嫌気性の細菌だと考えられています。嫌気性とは空気にふれることを避ける菌で、歯ぐきと歯の間の溝である歯周ポケットの中へ潜り込んでしまう性質があります。

不適切なブラッシングなどを続けてしまうと、口腔内に残った食べかすに集まった細菌が歯垢となり、歯石となります。歯垢は細菌にとっては格好の住処となり、繁殖が進むと次第に毒素を排出して歯肉に炎症を起こし、歯周炎を発症させます。

最初のうちは痛みを感じられないものの、症状が進むと歯を支える歯周組織にまで炎症が広がり、さらに放っておくと歯を支えきれなくなり歯が抜け落ちてしまいます。

歯と歯ぐきの間の溝である歯周ポケットの溝の深さが6mm以上になると、重度の歯周病である歯槽膿漏である疑いが強まります。ブラッシングをしていても血や膿が出る状態になることもあり、歯科医院で治療を受ける必要がでてきます。

口臭だけじゃない! 命に関わることもある歯槽膿漏


歯槽膿漏は口臭を悪化させるだけでなく、さらに重い病気を発症させる可能性があります。

嫌気性の細菌は歯ぐきなどから血管に入り込みます。血流に乗った細菌は全身をまわり、最悪の場合は心臓病などの命にかかわる疾患を引き起こしてしまうかもしれません。

歯槽膿漏の治療で口臭を改善しましょう


歯周炎や歯槽膿漏になってしまった場合、一般的にはまず「歯周基本治療」という治療を受けることになります。これは歯垢や歯石を除去して、細菌の繁殖を抑えることを目的とした治療となります。

その後、歯の負担を和らげるために、咬み合わせの調整や、グラグラと動揺度の高い歯を固定する治療をおこないます。歯周ポケットが健康な状態に近づけば、定期的にクリーニングをし、経過観察することになります。

自宅でもできる歯槽膿漏予防とは?



これまで説明をしたように、歯槽膿漏の大きな原因となるのは歯垢です。この歯垢を普段のセルフケアでしっかりと除去して、強い口臭を生み出す歯槽膿漏を事前に予防することが大切です。

電動歯ブラシを使えば、手磨き歯ブラシよりも効率的に歯垢を落としやすくなります。そのほか、歯間ブラシデンタルフロスを併用することもオススメです。いちど、自分が普段使っているオーラルケアグッズを見直してみてはいかがでしょうか?


歯槽膿漏は歯周病のなかでも末期に近いステージとなります。原因はさまざまですが、まずは自分のブラッシング方法や、歯ブラシなどのグッズが自分にあっているかどうかといった点を確認してみてください。また、歯槽膿漏は歯科医院で治療を受けなければ、症状を改善することは困難な疾患です。早めの受診をオススメします。

歯槽膿漏(歯周病)を放っておくと、口臭だけでなく命にかかわる病気が引き起こされるリスクもあります。すでに歯槽膿漏の人は、正しいオーラルケア方法を学び、毎日のブラッシングなどで健康な歯と歯ぐきのキープを目指しましょう。

監修者

歯科衛生士
粟飯原ももこ
粟飯原ももこ 氏の近影

あいはら ももこ。歯科衛生士。平成18年3月歯科衛生士資格を取得し、歯科医院にて勤務。歯科医療をテーマにした執筆や訪問歯科衛生士に関する冊子制作などにも携わる。

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