舌が痛い……!考えられる病気や治療法をくわしく解説
味覚をつかさどる舌は非常に繊細な器官であり、それゆえに痛みの原因もさまざま。
舌の痛みが続く場合、どのような病気を発症している可能性が高いのか解説していきます。
重篤な病気のサインである可能性もあるため、自己判断で放っておくことはせずに早めに歯科医院などで症状を相談してください。
舌に痛みが起こる原因1:口腔内外の疾患
舌の痛みが起こる原因としてまず考えられるのが、口腔内もしくは口腔外の病気です。しかし、口腔内の病気だけが原因とは限らないので注意が必要です。
ここでは、舌に痛みを引き起こす原因として考えられる病気をいくつかご紹介していきます。
ドライマウス
ドライマウスとは唾液の分泌量が不足し、口内が乾いた状態になってしまう病気です。ドライマウスの原因は、加齢やストレスなどであると考えられています。そのほか、薬を服用している人は副作用で唾液の量が減り、ドライマウスが起こる可能性があります。
唾液は歯だけでなく、舌の表面も守っています。舌が乾くと傷つきやすくなるため、それが原因で痛みが起こるケースも考えられます。
悪性貧血
口腔内の病気ではなくても舌に痛みを引き起こす病気として、悪性貧血があります。悪性貧血はビタミンB12や葉酸の不足によって起こると考えられています。
そのほか、亜鉛が欠乏することで、舌の痛みだけでなく味覚異常が起きる可能性も。
もともと貧血気味で舌の痛みが続く場合や、「最近、食べ物や飲み物の味が変だ」などといった自覚がある方は、栄養バランスを今一度見直してみることをオススメします。
舌の動脈硬化など
舌に静脈瘤ができると舌に違和感を覚えることがあります。その静脈瘤が舌の神経を圧迫することで、痛みというよりは不快なしびれの感覚を覚える人が多いようです。
また、動脈硬化でも同じ理由で舌にしびれや違和感を感じる傾向にあります。
感染症
口腔内でヘルペスやカンジダが起こった場合、また、口内炎が舌にできると痛みが起こります。また、そのほかの感染症で身体の抵抗力が弱ると舌に痛みが起こってしまうことがあります。
神経疾患
舌そのものには問題がないものの、神経が痛みを誤認してしまうケースです。特に「鋭い痛みが不定期に続く」という場合は早めの検査をしましょう。
進行した舌がん
悪性腫瘍(がん)が進行し、神経を刺激すると痛みが起こることもあります。舌がんであれば、初期に強い痛みはあまり起こりませんが、痛みのほかに出血がある場合は一刻も早く治療を受ける必要があります。
舌がんは、がん化した部分が硬くなるという特徴があります。この硬くなったところに痛みが生じた場合は要注意。舌の一部分が変色していないかどうかなども、詳しく見てみましょう。
舌に痛みが起こる原因2:矯正器具など外部の刺激
次に病気以外の要因で舌に痛みを引き起こすケースをみていきましょう。
まず考えられるのが、口腔内の詰め物や矯正装置、義歯が刺激物となって舌の痛みを引き起こしている場合です。
この場合は原因の特定が比較的容易なため、治療をしてもらった歯科医院に相談してください。
放っておくと傷ができ、潰瘍状になってしまうこともあるため、早めに診てもらうことが大切です。
次に考えられるのが食べ物です。
特に化学調味料や保存料などを多く含む加工食品は影響が強いといわれています。
これらの成分を多く含む食べ物(コンビニ弁当やインスタント食品など)を摂る習慣のある方は、食生活の見直しが必要です。
舌に痛みが起こる原因3:舌痛症(心因性の症状)
上記のほかにも、舌に痛みが起こる可能性のある疾患は多くあります。
また、検査を繰り返しても原因が特定できない場合、舌痛症と診断されることがありますが、いきなり舌痛症と診断されることはまずありません。
舌痛症は心身症の一種で、ストレスが原因で身体に起きる症状を総称したものです。
心身症は几帳面な性格の方に起こりやすいといわれており、強いストレスを感じたとき、身体の痛みが出る症状となります。なかには、検査で何も見つからなくても「何か原因があるはずだ」と不安が続き、さらに精神的に不安定になってしまう人もいます。
心身症に起因する舌の痛みの場合、認知行動療法などを取り入れて改善を図ることがありますが、治療法はさまざま。歯科医院ではなく、心療内科などほかの分野で治療をおこなう場合もあります。
舌の痛みが続く際に考えられる病気について説明しました。あくまでこれらは可能性のある病気の一例です。検査を受けていないという方は、まずは原因となる病気の特定を試みましょう。
今回紹介した病気のほかに、糖尿病により舌の痛みが起こるといった事例もあります。また、脳梗塞の予兆として舌のしびれを感じる方もいるようです。
医療機関を受診する際は、舌に起こる痛みの強さや頻度もあわせて伝えるようにしましょう。痛みだけでなく「なんとなく違和感がある」、「しびれるような感覚がある」など細かい症状を伝えると、診断のヒントになります。