舌のしびれは見過ごせない病気のサイン?
舌がしびれる原因は実にさまざまで、時には重大な疾患が隠れていることもあり、見過ごすことはできない身体のサインの一つと考えられます。
今回は、舌のしびれの詳しい症状、また舌のしびれの症状から考えられる疾患などをご紹介していきます。
舌のしびれはどんな症状をいうの?
舌のしびれとは、どんな症状を指すのでしょうか。舌がヒリヒリしたり、ジンジンしたりする場合を舌の「しびれ」といいます。しびれの症状がでる部位の多くは、舌の先端や、舌の裏側、舌の側面などで持続的、自発的にしびれを感じます。
舌のしびれの他に気になる症状があるかを確認
ある日、突然に舌がしびれてしまったら、驚いて不安に感じてしまうかもしれないですよね。もし舌がしびれてしまった場合、「しびれ」の症状の他に気になる症状があるのかを確認しましょう。
ご紹介するのは、舌のしびれと同時に気になる症状が出る場合のほんの一例となります。
- 舌が痛い
- 舌にしこりや腫瘍がある
- 味覚を感じない
- 手足がしびれる
- 耳鳴り
- 左右どちらかの半身にしびれ
舌のしびれに症状がある病気は?
舌に症状が現れる疾患をご紹介していきます。舌がしびれているだけだからといって、放っておかずに原因をはっきりとさせることが大切です。
<欠乏症>
栄養成分が不足していると、舌のしびれと共に各疾患に伴った症状を発症することがあります。
- 亜鉛欠乏症
バランスのとれた食事をとれていれば、あまり亜鉛が不足することはありません。また、過度なダイエットや、アルコールの多量摂取が原因の場合も考えられます。亜鉛欠乏症になると、唾液の減少、口腔乾燥、味覚障害などの症状に加え、舌のしびれが生じることもあるでしょう。
- 鉄欠乏性貧血
食事のバランスが偏っている、食事が少量(ダイエット含む)、あるいは妊娠などによって鉄分の需要が高まると、需要と供給の関係から鉄が欠乏します。また、月経過多や癌などの影響でも鉄欠乏性貧血となる場合があり、耳鳴りや舌・口唇の炎症と共に、舌のしびれも伴うでしょう。
- ビタミンB12欠乏(ハンター舌炎)
血液をつくるために必要不可欠な栄養素がビタミンB12です。ビタミンB12が欠乏してしまうと舌の表面組織である乳頭が委縮し、舌炎や舌のしびれ、痛みが生じることがあります。通常はビタミンB12が欠乏する可能性は低く、胃を全摘出している方がビタミンB12欠乏となる場合が多くみられます。
<神経痛・神経麻痺>
舌は2つの神経に支配され、舌先2/3は三叉神経、舌根1/3は舌咽神経が通っています。神経痛が生じると、舌に電気が走ったようにピリピリとしびれが現れるでしょう。
神経痛は、血管が神経を圧迫してしびれや痛みが生じるといわれています。特に三叉神経は、血管が動脈硬化を起こした場合にその血管が神経を圧迫し、しびれや痛みが生じてしまうのです。また、舌咽神経も血管に原因があると考えられています。
神経麻痺で舌のしびれが生じる場合は、神経が損傷していることで起こります。歯科治療においては骨を削るなどの大掛かりな抜歯、神経に麻酔を打つ伝達麻酔の影響で、三叉神経が破損する症例が報告されています。
<口腔内乾燥>
唾液は口腔内の洗浄はもちろんのこと、乾きを予防する役割もあります。
口腔粘膜や舌は特に乾燥に弱く、なんらかの理由で唾液の分泌量が減少すると粘膜に亀裂が生じ、上皮がはがれてしまい、傷つきやすくなります。これは、舌も例外ではありません。舌の表面組織である乳頭が委縮し、次第に違和感や痛み、ピリピリとしたしびれを感じることが多くなります。
<糖尿病>
糖尿病は、自己免疫疾患の「1型糖尿病」と生活習慣病の「2型糖尿病」という2つのタイプに分かれます。このうち、舌のしびれの症状をきたす恐れがあるのは「2型糖尿病」です。
通常であれば食事によって血糖値が上昇し、すい臓からインスリンが分泌することで血糖値は下がるでしょう。しかし糖分を常に摂取した状態が続くと、血糖値は下がることが困難になってしまい、さまざまな支障をきたします。これを糖尿病と呼び、糖尿病による神経障害の一つの症状に舌のしびれがあげられます。
<脳梗塞>
脳梗塞の症状として、舌のしびれが挙げられます。舌の症状の他にも手足のしびれ、左右どちらかの感覚麻痺などのなんらかの症状が認められる場合には、早急に医療機関を受診してください。
<舌がん>
舌がんの初期段階でしびれが生じることは稀であり、腫瘍などが大きくなるにつれて神経を圧迫すると、舌にしびれが生じる場合があります。舌がんは口腔癌のうちの9割を占め、舌の側面や裏側が好発部位です。なかなか治らない口内炎や腫瘍がある場合には、口腔外科などの専門医療施設への受診をオススメします。
舌のしびれの原因が判明しない場合は舌痛症
ご紹介してきた疾患が原因ではない場合には、舌痛症が考えられるでしょう。医療機関で問診・視診・触診・血液検査などを行っても原因が解明されていない場合に限り、舌痛症と診断されます。検査などはおこなわずに、最初から舌痛症と診断されることはまずないと考えられます。
舌痛症の原因
舌痛症の原因は未だに解明はされていません。几帳面な性格や過度なストレスを溜めがちな人が舌痛症になりやすい傾向が見受けられ、心身症の一つと考えられています。
治療法は?
物理的な治療は行われず、セロトニン系の抗うつ剤を服用し症状の改善をはかります。患者さまの症状に合わせて薬を調整し、治療が進められるでしょう。
今回は舌のしびれの症状で考えられる疾患などについてご紹介してきました。舌の症状が2週間以上にわたって続く場合には決して自己判断せず、適切な医療機関に受診することをオススメします。