お口と健康
2019.05.29

痛くない口内炎、大きな病気の可能性もある?

口内炎にはいくつか種類があります。一般的に痛みがある方が症状が重いとされますが、口内の炎症は痛みがないものの方が注意を必要とする場合が少なくありません。
今回は、痛くない口内炎の種類と対処法について詳しくご紹介します。



痛くない口内炎の種類とは?


<カンジタ性口内炎>


口内にはカンジタ菌が常在菌として存在しますが、健康なときに発症することはありません。しかし、免疫力が低くなっているときにカンジタ菌が増殖すると、症状が現れてしまいます。
発症要因としては、以下のようなことをキッカケに感染してしまうことがあるでしょう。

  • 加齢で唾液が減少している
  • ステロイドの長期服用
  • 化学療法などでお口の中の細菌のバランスが崩れてしまう

なお、カンジタ性口内炎には以下のような種類があります。

偽膜性カンジタ症

症状として、白い斑点のような苔が付着し、白い膜ができることが多いでしょう。この段階ではほとんど痛みがありません。
しかし、この白い膜が剥がれると、腫れや痛みを伴うことがあります。

萎縮性カンジタ症

このカンジタ症は入れ歯が接触していた部分が赤くなる場合、あるいは「びらん」になって、強い痛みではないもののヒリヒリした痛みを伴うことがあります。

<ニコチン性口内炎>


タバコをたくさん吸うことで起こり、タバコに含まれる化学物質が粘膜に悪影響を与えます。また、タバコの影響で口内を乾燥させるため、炎症を起こしやすいと考えられている口内炎です。
や粘膜に白い潰瘍ができることが多く、赤い腫れを確認することもあります。

<全身エリテマトーデス>


正常な細胞を攻撃する「自己免疫疾患」の一つで、全身のさまざまな場所に炎症を引き起こしてしまいます。
口内の症状では粘膜に白い斑点のような症状が現れ、アフタ性口内炎に似ていますが、痛みが出ないのが特徴です。また、以下のような症状が現れることも。

  • 関節炎
  • 日光過敏症
  • 腎障害
  • 顏に蝶の様な湿疹

<粘液嚢胞>


粘膜が傷ついて唾液線から唾液がうまく排出されないと、風船のような水ぶくれができます。痛みはなく、ある程度大きくなると割れてしまい、内部の粘液が出ると腫れは落ち着くでしょう。
しかし、袋はできたままなので、再発することが多いのが特徴です。

<口腔がん>


口内にできるがんで、特に多いものに「舌がん」が挙げられます。粘膜の表面が潰瘍になり、しこりのように硬くなると注意が必要です。

通常の口内炎であれば、傷になる原因を改善して薬などを投与すると、2週間もあれば落ち着きます。しかし口腔がんの場合は、その後も症状が改善しません。2週間以上にわたって炎症が長引く場合には、専門の医療機関に受診することをオススメします。

なお、喫煙・飲酒する方は口腔がんのリスクが高くなるといわれています。そのほかにも、不衛生な口腔内や虫歯の放置、合わない入れ歯による持続的な刺激も、リスクが高くなる傾向にあるといえるでしょう。

痛くない口内炎の対処法とは?


<カンジタ性口内炎の対処法>


症状によって治療法が異なることがありますが、軽度の場合には殺菌効果の高いうがい薬の使用、そして口内を清潔に保つことで改善を待ちましょう。症状が強い場合には、抗真菌薬を用いて治療をおこないます。

また、真菌は抗生物質が効きません。抗生物質により細菌はいなくなりますが真菌のカンジタ菌は生き残り、戦う相手のいなくなったカンジタ菌は増殖します。そのため、抗生物質を多用していると、カンジタ性口内炎になるリスクが高くなってしまうでしょう。

<ニコチン性口内炎の対処法>



喫煙によって炎症が出るので、もっともよいのは“禁煙”です。禁煙すると化学物質の刺激がなくなり、数週間程度で炎症が落ち着くことが多くなります。
また、タバコのヤニで汚れが残っていることも少なくないので、合わせて口内も清潔さをキープしましょう。

<全身エリテマトーデスの対処法>


この病気において治療に用いられることの多い薬が、副腎皮質ステロイドです。ただ、副腎皮質ステロイドは長い期間使用することが多く、薬の量の調整が重要となります。

症状が重い場合には、ステロイドを点滴するステロイドパルス治療をおこなうこともあります。ただ、この治療は全身管理をおこなって、副作用の状態を確認しながら進めることが必要です。そのため、3~5日間程度の入院が必要になることが多いでしょう。

<粘液嚢胞の対処法>


この病気は刺激によって割れ、中の粘液が出ると腫れも落ち着きます。しかし中の袋が残ったままなので、再発をしやすいのが特徴です。そのため、根本的な治療をおこなうには原因である唾液線の外科手術をおこない、粘液の袋の切除をおこなうことが望ましいでしょう。


口内炎といっても、さまざまな種類があります。ただ、治療しても2週間以上にわたり炎症が続く場合には、悪性の場合も考えられるでしょう。その際は、早めに大学病院などの専門医療機関に相談してください。
また、発症には免疫力が関係してくることも多いので、規則正しい生活習慣や食生活を心がけることが大切です。

監修者

歯科衛生士
廣澤尚子
廣澤尚子 氏の近影

ひろさわ なおこ。歯科衛生士。平成14年4月歯科衛生士資格を取得し、美容外科の歯科部門や歯科医院で勤務。歯科衛生士としての経験と知識を生かし、歯科関連の執筆にも多く従事している。

OralFirst
この記事が気に入ったら「いいね!」しよう

歯みがき

お口ケア

お口と健康

お口と美

NEWS