お口と健康
2019.04.17

歯痛に鎮痛剤は効果アリ?塗るタイプは即効性も

仕事で外に出ている際やプライベートでの旅行など、大事な用事のときに歯が痛んで困ったという経験がある方はいませんか? なかには「鎮痛剤でなんとかしのいだ……」とツラい思いをした人もいるかもしれません。

歯が痛む原因として、特に多いのが虫歯などによる炎症です。

本来であれば、こうした状況に至ってしまう前に歯科医院で治療しなければなりませんが、今回は応急処置として「なんとか痛みを抑えたい!」という人向けに鎮痛剤を使用した対処法を解説します(現在、歯科医院で治療を受けている人は主治医と相談のうえ服用を検討することを強くお勧めします)。


歯の痛みに塗り薬は効く? 選び方は?


冒頭で述べた通り、多くの人が歯の痛みに対して内服するタイプの鎮痛剤を使用していると思いますが、痛いところに直接塗り込むタイプの鎮痛剤もあります。これらは歯の痛みを抑えることに特化してつくられている薬です。

塗るタイプの鎮痛薬は患部に直接塗布するため、即効性が期待できます。携帯しておくと、万が一痛みが生じた際にも活躍します。

それでは、塗り薬の選び方について解説していきましょう。塗り薬に限ったことではありませんが、有効と考えられる鎮痛成分なども理解しておくことをオススメします。

歯に用いる鎮痛剤は、大きく分けてとジェルタイプと液体(ウォーター)タイプがあります。有効成分としておおむね同じものが含まれていることが多いため、自分が使いやすいものを選ぶようにしてください。

ジェルタイプ


ジェルタイプの鎮痛剤は、ある程度“粘性”があります。痛んでいる部分がはっきりとわかっていて、自分で塗布できるようであれば落ちにくいジェルタイプの歯痛止めを使用するのがよいでしょう。

EPC処方とは?


歯の鎮痛剤のなかでも「EPC処方」と呼ばれるものは持続効果があるとされています。EPC処方は、歯科医院で実際に使われている鎮痛剤などと配合が近いことが特徴です。

即効性と持続性が比較的あるため、EPC処方の鎮痛剤を服用することをオススメします。

主に配合されている成分はオイゲノール、フェノール、カンフルという成分です。いずれも鎮痛作用があるといわれています。ただし、フェノールには粘膜や皮膚を侵す働きもあるため、歯ぐきや唇にはつかないようにしましょう。

液体タイプ


液体タイプはより水分を多く含んでいます。こちらも患部に直接塗り込んで使用します。有効成分はジェルと共通するものが多く、そのため、こちらも歯ぐきや唇につかないように塗布する際は慎重におこないましょう。

同じ製薬会社でも両方のタイプが販売されていることもあるため、どちらが自分に合うかを試してみてもよいですね。

飲み薬で歯痛に効果はある?


個人差はあるものの塗る鎮痛剤は飲み薬に比べ、即効性があると考えられています。しかし、塗り薬を使用する際は鏡を見て口を開いて塗布しなければならないため、仕事で誰かといるときなどは使用しづらいケースが考えられます。


飲むタイプの鎮痛剤にもメリットはあります。

内服する鎮痛剤のメリットとして挙げられるのは場所を選ばずにさっと飲めるという点でしょう。水無しで飲めるタイプもあるため、飛行機に乗るときなど痛みが出ては困る際は持っておくと、心にゆとりを持つことができます。

基本的には、頭痛や生理痛を抑えるための鎮痛薬は歯痛を抑える目的でも使用できる場合がほとんど。

鎮痛成分として配合されているもので代表的なのはロキソプロフェンやイブプロフェン、アセトアミノフェンです。アセトアミノフェンは市販の風邪薬でも配合されていることが多い成分となっています。

市販薬はあくまで一時しのぎ! 服用のしすぎに注意


塗るタイプ、飲むタイプの歯の鎮痛剤それぞれにメリットがあることがわかっていただけたのではないでしょうか。

ただし、市販の鎮痛剤は自分で用法用量を守り服用することが大切です。また、過度な鎮痛剤の使用は身体に深刻な害を及ぼすこともあるため注意が必要となります。

効き目の強い鎮痛剤は毎日のように服用することで、胃潰瘍などの病気を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

特に非ステロイド系の薬は胃の粘膜分泌の働きを弱める作用もあるため、胃が消化液で自らを傷つけてしまうこともあるのです。

今回紹介した薬はあくまでも一時的な痛みに対処することを目的に作られているもので、常用での使用は避けてください。また、歯の病気そのものを治療する薬ではありません。やむを得ないほど痛みが強い場合や、歯科医院で診てもらうまでに待たなければならない場合にのみ使用する程度にとどめるようにしましょう。


今回は歯がどうしても痛むという緊急時に備えて持っておきたい、歯の痛み止め薬をジェルタイプと液体タイプに分けてご紹介しました。

歯の痛みには精神的な要素が影響することもあります。痛み止めを持っておくだけで「安心できる」という人もいるため、歯の治療をしている方や受けなければいけないと考えている人は携行しておくのがよいかもしれません。

ただし、何度もお伝えしているように鎮痛剤は一時しのぎにしかなりません。自発痛と呼ばれる、外からの刺激がないのに歯が痛む場合はかなり炎症が悪化している可能性が高いです。できるだけ早く、治療を受けて健康な口内環境を維持するようにしてくださいね。

監修者

歯科衛生士
粟飯原ももこ
粟飯原ももこ 氏の近影

あいはら ももこ。歯科衛生士。平成18年3月歯科衛生士資格を取得し、歯科医院にて勤務。歯科医療をテーマにした執筆や訪問歯科衛生士に関する冊子制作などにも携わる。

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