お口と健康
2018.10.24

歯周病はなぜ起きる?原因と予防法を覚えよう

歯周病は世界でもっとも多くの人が患っている感染症としてギネスブックにも登録されているほど、大勢が悩まされています。誰にとっても、他人事とは言えない病気なのです。特に年齢が上がるにつれてかかりやすいですが、歯周病は予防することができます。歯周病を予防するうえでとっとも大切なのが、プラークを除去することです。

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歯周病の原因はプラーク


歯周病の最大の原因はプラークです。私たちのお口の中には、300~500種類もの細菌が常在しています。お口の中に食べ物や甘い飲み物が入ってくると、お口の中の細菌はそれを分解してネバネバした物質を作り出し、歯の表面に付着します。これが、プラーク(または歯垢)です。プラークは歯ブラシが行き届きにくい歯と歯ぐきの境目や、歯と歯の間に溜まりやすいでしょう。

プラークはたくさんの細菌によって構成されており、その中にむし歯菌や歯周病菌も含まれます。むし歯菌は“好気性菌”といって空気を好む菌のため、プラークの表面に多く生息。逆に歯周病菌は“嫌気性菌”という空気を嫌う菌のため、プラークの奥の方に潜み、プラークの日数が経てば経つほど歯周病菌の割合は増える傾向にあります。また、空気が非常に少ない歯と歯ぐきの隙間であるポケットに入り込み、そこで繁殖。そのとき毒素を出すため、これによって歯ぐきに炎症が起きます。これが歯周病の第一段階であり、歯を磨くと歯ぐきから出血するといった症状が現れるでしょう。

この炎症がそのまま放置されると、次第に歯周組織が破壊されていきます。歯を支えている周りの骨(歯槽骨)が少しずつ溶かされ、その結果、歯を支えきれなくなり歯がグラグラと揺れ始めるのです。すると固いものが噛めなくなったり、歯ぐきから膿が出たりという症状が現れます。正しい治療がなされなければ、最終的には歯が抜け落ちてしまうのが歯周病です。

歯周病は歯を抜く原因の第1位


歯を抜かなければならない原因の第1位は歯周病であり、抜歯の原因の約42%を占めます。次に多いのがむし歯で、約32%の割合です。毎年、多くの方が歯周病を原因として歯を抜いています。

歯周病はサイレント・ディシーズ、つまり静かに進んでいく病気です。そのため、初期の段階では本人は気づかず、自覚症状が出る頃には症状が進んでいることが多いでしょう。処置が遅れれば遅れるほど、抜歯しなければならない確率は高くなります。

歯周病は多くの人がかかっており、程度の差はあるものの、成人の場合は80%もの人が歯周病になっていると言われています。しかし、歯周病は予防することも可能な病気です。歯周病で歯を失わないために、そして歯周病を予防するために以下のことを行いましょう。

ていねいな歯磨きを行う

歯周病予防の基本は歯磨き。うがいではプラークを落とせず、歯ブラシで磨き落とす必要があるのです。特に、歯周ポケットの中へ毛先が入り込むよう歯ブラシを当てて磨きましょう。歯ブラシを大きく動かして磨くのではなく、小刻みに動かして1本ずつ磨きます。できるだけ、毎食後歯磨きすることを目標にしてください。

とりわけ、寝る前はていねいに磨くようにしましょう。なぜなら、寝ている間にお口の中の菌は繁殖しやすいから。寝る前はしっかりと磨いて、できるだけお口の中の菌の数を減らしましょう。また、部分入れ歯などが入っている方は、プラークの溜まりやすい入れ歯のバネがかかる歯を意識的に磨いてください。そして、入れ歯も磨くことを忘れないようにしましょう。

歯間部を清掃する


プラークは歯周ポケット内部と、歯と歯の間に残りやすくなっています。しかし歯と歯の間の汚れは、歯ブラシで落とすことができません。そのため、デンタルフロス歯間ブラシを使って歯間部を清掃する必要があります。1日1回、夜に使用しましょう。

定期検診は歯周病予防に欠かせないポイント


歯周病を予防するため、定期的に歯科医院で歯ぐきの状態を検査してもらいましょう。歯周病は、初期の段階では自覚症状があまりありません。そのため、検査によって状態の悪いところがないかどうか把握することは、歯周病予防に欠かせないのです。そして、プロによるクリーニングを受けましょう。どんなに自分で丁寧に磨いているつもりでも、必ず磨き残しがあるものです。

また、プラークがお口の中に長く留まると、やがて唾液の中のカルシウムやリンなどが付着して石のように固くなります。これが歯石です。歯石になると歯磨きで落とすことができません。そのため、専用の機械で落としてもらう必要があります。特に歯周ポケットの中に着いてしまった歯石は、きれいに落としてもらうことが大切。なぜなら、歯石の表面はザラザラしているため汚れを寄せつけやすく、歯周病を悪化させてしまうからです。

加えて、歯科衛生士からブラッシング指導を受けましょう。自分では磨けているつもりでも、実際は磨けていないところは誰にでもあります。そのため、正しい歯ブラシの仕方を教えてもらい、セルフケアの質を高めていってください。

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監修者

歯科衛生士
棚橋沙紗
棚橋沙紗 氏の近影

たなはし さあしゃ。歯科衛生士。平成22年3月歯科衛生士資格を取得し、歯科医院にて勤務。歯科領域のコラム執筆などにも従事。

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