お口と健康
2018.10.22

その口臭、歯周病かも!改善方法は?


歯周病は、日本人の成人の約8割がかかっているといわれている口腔疾患です。10人中8人が発症していることになります。そんな歯周病は、歯肉の腫れや出血だけでなく、口臭とも関連が深いことをご存知でしょうか。



歯周病は細菌感染症


歯周病は、歯周病菌に感染することで発症する細菌感染症です。歯周病菌は、唾液などを介して容易に人から人へとうつります。例えば、家族内で同じスプーンやお皿を共有したり、個々の人の歯ブラシが接触したりすることでも感染が広がることがあります。

歯周病菌に感染すると、歯肉に炎症が生じます。歯肉が赤く腫れ、ブラッシング時に出血がみられることもあります。この時点ではまだ軽度の歯周病であり、専門的には「歯肉炎」という病名が付けられています。これが重症化していくと、炎症が歯根膜や歯槽骨といった歯肉の内部にまで広がっていき、「歯周炎」を発症することとなるのです。そこで気になるのが口臭との関連です。

歯周病によって口臭が生じるメカニズム


・歯周病菌が原因

歯周病の基本的な症状は、歯肉や歯槽骨といった、歯周組織の炎症反応です。症状が進行するほど、歯周組織は破壊され、やがては歯が抜け落ちてしまいます。この過程で生じる口臭というのは、やはり歯周病菌が原因となっています。

・ニオイのもとはメチルメルカプタン

歯周病菌の多くは、歯周ポケット内の歯垢に生息しています。また歯周ポケット内の歯石はザラザラしているため、より歯垢を寄せつけやすくします。歯周病菌は、歯周ポケット内に存在する血液や食べカスをエサとすることで、生命活動を営んでいるのです。その活動の副産物として生じる物質に「メチルメルカプタン」というものがあります。これが、歯周病による口臭の原因です。

歯周病の口臭ってどんな臭い?


メチルメルカプタンは、揮発性硫黄化合物の一種で、簡単にいうと「野菜が腐ったような臭いを発するガス」です。歯周ポケット内で生じたメチルメルカプタンは、液体から気体に変わり、口腔内へと排出され、呼気に混じって体外へと出ていきます。これが歯周病による口臭の正体です。

私たちは誰しも、生理的口臭というものを持っています。健康な人にも生じる口臭で、起床直後や緊張などでお口の中が乾燥した際に発生します。この生理的口臭は「硫化水素」と呼ばれる物質が主な原因となっており、その臭いは「卵が腐ったような臭い」と表現されます。ですから、歯周病による口臭と同様、やはり食品が腐ったような臭いが生じるという特徴を持っているのです。



歯周病による口臭は生理的口臭よりも強い?


臭いに対する感受性は、人によって異なります。同じ臭いでも、全く気にならない人もいれば、気になって仕方がないという人もいます。それは、歯周病による口臭や生理的口臭も同じです。ただ、一般的な感じ方として、歯周病による口臭は生理的口臭よりも強いと言われています。それだけに、積極的な改善が求められます。

歯周病による口臭を改善する3つの方法


歯周病による口臭を改善するのであれば、何よりまず歯周病を治療する必要があります。なぜなら、冒頭でも述べたように、歯周病による口臭は歯周病菌が生み出しているからです。お口の中で歯周病菌が活動している限り、メチルメルカプタンも発生し続けます。


1.SRPによる歯石除去

歯科医院では、スケーラーと呼ばれる専用の器具を使って、歯面に付着した歯石を除去します。。特に、歯肉の中に隠れている歯石を縁下歯石といいますが、この縁下歯石は、専門家によるSRP(スケーリング・ルート・プレーニング)でなければ、きれいに落とすことが困難ですので、口臭が気になる方は、積極的に歯周病治療を受けましょう。歯周ポケット内の歯垢や歯石が除去されれば、メチルメルカプタンの発生量も減少し、歯周病による口臭が改善されます。同時に、炎症の原因が取り除かれることで、歯周病の症状も改善していきます。

2.適切なブラッシングを実践する

歯の並び方は、一人ひとりで異なりますので、磨き残しのないブラッシング法も、患者さん一人ひとりで異なります。ですから、歯科医師や歯科衛生士から最適なブラッシング法を学び、ご家庭でも実践していきましょう。そうすることで、歯周病菌のエサとなる食べカスや歯垢などが減り、口臭も発生しにくくなります。

3.補助的清掃器具を活用する

歯と歯の間は、歯ブラシによるブラッシングでは効果的に清掃することが難しいです。そこで、歯間ブラシデンタルフロスといった補助的清掃器具を毎日使用するようにしましょう。。また、音波歯ブラシや超音波歯ブラシなども、高い清掃効果が期待できますので、日々のオーラルケアに採り入れることをおすすめいたします。


まとめ


このように、歯周病による口臭は、歯周病菌が産生するガスに由来していますので、根本的な原因となっている歯周病を治療することが不可欠ですので、歯科医院を受診しましょう。それと同時に、毎日の正しいオーラルケアを徹底することにより、歯周病による口臭を改善していきましょう。

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