歯周病に効く歯磨き粉の成分と正しい使い方
特に多くの人が関心を寄せるのが、毎日の歯磨きでできる歯周病予防。使用する歯磨き粉を変えるという最も手軽に行える予防法だけに、詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。
歯周病予防に効果のある歯磨き粉の成分と正しい使い方について詳しく解説します。
歯周病に効く成分
最近は、さまざまな薬用成分が配合された歯磨き粉が販売されています。
虫歯予防はもちろんのこと、知覚過敏や口臭、歯周病に効く歯磨き粉も市販されていますよね。ここでは、歯周病予防や歯周病の改善に寄与する歯磨き粉の成分をご紹介します。
歯ぐきを引き締める作用
歯周病が進行していくと、歯ぐきが腫れてブヨブヨしてしまいます。
そんな歯ぐきの症状を改善してくれるのが「収斂作用(しゅうれんさよう)」。簡単にいうと、歯ぐきを引き締める作用のことです。
これは塩化ナトリウムが配合されている商品で、効果の期待ができます。
健康な歯ぐきって、ピンク色なんですか?
出血を抑える作用
歯周病における代表的な自覚症状といえば、歯ぐきからの出血。歯ぐきに炎症が起こっている証拠でもあり、すぐにでも改善すべき症状の一つでもあります。
歯ぐきからの出血は、トラネキサム酸という成分によって抑えることが可能です。
トラネキサム酸には「出血抑制作用」があるため、歯肉炎や歯周炎による歯ぐきからの出血を改善に効果があります。
歯周病菌を殺す作用
歯周病に効く歯磨き粉には、歯周病の根本的な原因である歯周病菌を殺す作用も期待できます。
塩化セチルピリジニウムや塩化ベンザルコニウムなどがその代表で、軽度ながら殺菌作用を発揮します。お口の中に存在する歯周病菌をすべて殺すことは不可能ですが、その増殖を抑えたり、数を減らしたりすることには貢献します。
血行促進作用
歯周病にかかると、歯ぐきに炎症が起こって歯周組織の新陳代謝が滞ります。すると、悪い物質がたまり、病状がさらに悪化するという負のスパイラルに陥ってしまうのです。
そこで有用となるのが血行を促進する作用です。酢酸トコフェロールなどの成分は、歯周組織の血行を促進することで歯周病に対する抵抗力を高めてくれます。
抗炎症作用
歯周病の最も大きな特徴は、歯周組織に炎症です。
歯肉炎は歯ぐきに、歯周炎は歯ぐきに加えて、歯根膜や歯槽骨にまで炎症が広がります。これをいかに抑えるかが歯周病治療のカギとなります。
歯周病に効く歯磨き粉には、トラネキサム酸のような抗炎症作用を発揮する成分が含まれており、炎症反応を鎮める働きを示します。トラネキサム酸は、出血を抑えると同時に炎症反応も抑える働きも併せ持っているのです。
薬用成分が配合された歯磨き粉の正しい使い方
歯周組織に作用するように使う
歯周病に効果のある歯磨き粉には、歯面ではなく、歯周組織に接触することでその効果を発揮する成分が含まれています。
たとえば、出血を抑える作用や炎症を抑える作用などは、歯周ポケットの中に入ることで、さらに効果が高まります。
歯周病菌の多くは、歯の表面だけでなく歯周ポケット内で繁殖しています。そのため、歯だけ磨くだけではそれほど高い効果が得られません。
ブラッシング後は口をゆすぎ過ぎない
歯磨きは、歯の表面に付着したプラークや口腔内に残留している食べカスなどを取り除くためのものです。ブラッシングが完了すると、念入りにうがいをしてスッキリとしたくなりますよね。
それ自体は悪いことではないのですが、歯周病の歯磨き粉のように、薬用成分が配合されている場合は、ブラッシング後に何度も口をゆすぐのはあまりオススメできません。過度に口をゆすぐことによって、薬用成分が洗い流されてしまうからです。
とくに、歯周組織に作用させたい成分に関しては、うがいでさっぱりと取り除かず、ある程度はお口の中に残した方が良いといえます。
歯を磨いたあとのすすぎは1回に留めるようにしましょう。
歯周病の症状を改善する歯磨き粉には、いろいろな薬用成分が含まれています。
出血の抑制や抗炎症作用、血行促進作用などは、歯周病ならではの薬用成分といえます。こういった成分が含まれた歯磨き粉を適切な方法で使用することで、歯周病の症状改善に寄与します。
もちろん、まだ歯周病にかかっていない方でも予防効果が期待できますので、気になる方は一度使ってみてください。
歯周病は自覚症状に乏しく、一度かかったらなかなか治らない病気です。日頃から予防に努めることが大切です。
歯周病に効果のある歯磨き粉も、その助けとなってくれることは間違いありません。
<参考・参照元>
歯周病は国民病|歯周病について|ライオン
歯みがき剤|歯と口の健康研究室|ライオン歯科衛生研究所
日本臨床歯周病学会 | 歯周病とは?
ハミガキの「薬用成分」の作用とは? | Lidea(リディア)